切削抵抗は、切削する際に被削材が刃物を押し戻そうとする力のことです。

力の掛かる方向によって、「主分力」・「送り分力」・「背分力」の3つに分けられ、これらの合力を「切削抵抗」といいます。

切削抵抗の大きさは、「被削物の材質」「切削速度」「切り込み量」「バイトの刃先角度の大きさ」等の条件によって変化します。

1.被削材の材質

焼入鋼など、被削材の材質が硬い場合に、切削抵抗が増加します。切削抵抗の増加によって熱が多く発生しますので、耐高熱性や耐摩耗性に優れる刃物を使用して切削します。

2.切削速度

切削速度の増加(約200〔m/min〕程度まで)により、切削抵抗が減少します。これは、高速切削によって切削熱が大くなることで被削材の強度が落ちることなどが原因として挙げられます。しかし、切削速度の増加で切削熱が大きくなると刃物の寿命が短くなりますので、使用している刃物の推奨範囲の切削速度で加工することが大切です。

3.切り込み量

切り込み量が増加すると、切削抵抗も増加します。切削方法の違いによる要因は、

・外周切削での切り込み量が増えると、主分力と送り分力が増加

・端面切削や突っ切りでの切り込み量が増えると、主分力と背分力が増加

となります。切削抵抗の増加は、被削材や刃物のたわみの増加に繋がります。特に背分力の増加は、加工中の”びびり”につながりますので注意が必要です。

4.刃先角度の大きさ

切削抵抗に影響する主な角度は、上すくい角と横切れ刃角です。

上すくい角が増加するほど、刃先が鋭利になり、せん断角が大きくなることで切削抵抗が減少します。横切れ刃角が増加すると刃の根元から切り込み、根元から切削が終わる為、刃先の寿命が延びます。しかし、背分力の増加に繋がることから、細物や薄物の切削では横切れ刃角を小さくします。