工具として優れた性質を持つ超硬合金またはセラミックを母材として、その表面に炭化チタン(TiC)、窒化チタン(TiN)、酸化アルミニウム(Al₂O₃)などを単層あるいは２－３層に薄くコートする事。
　元来コーティングに使われる材料は耐摩耗性、耐熱性、耐食性に優れた性質を持ってますが、この材料を使って単独に工具を成形することは難しい事です。

よって、これらの材料を他の材料に蒸着（コーティング）することにより、材料と母材両方の優れた性能を引き出して、従来にない優れた切削工具が作られるようになりました。

蒸着の方法としては化学的処理より行うCVD法と物理的な処理によるPVD法があり、いずれの方法を用いるかは母材との密着性を加味して決定されます。

ただ、PVD法は特殊な母材を必要としないことから最近ではCVD法より多用されています。

　コーティングの膜厚は5－10μm程度のものが多く、種類の違う物質をコ－ティングすることでそれぞれの物質の特徴を生かし、工具寿命・加工安定を求める事が可能です。

最近ではこれらの物質の他にダイヤモンドライクカーボーン(DLC)をコーティングし、ダイヤモンドに似た高硬度・電気絶縁性・赤外線透過性などを持つカーボン薄膜を得る事が出来ます。

コーティング物質の特徴