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- 2021年7月26日
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日刊工業新聞社がまとめた工作機械主要7社の5月の受注実績は、前年同月比2・2倍の355億4200万円で6カ月連続の増加となった。国内外での受注回復に加え、前年同月が新型コロナウイルス感染症の影響で低かった反動もあり、大幅な伸び率となった。特に海外需要の回復が鮮明で、中国以外の地域でも設備投資の動きが広がり始めている。
全社が合計、国内、輸出の各項目で増加した。特に輸出の増加が顕著で、牧野フライス製作所やツガミなど5社が2倍以上の伸びとなった。牧野フライスは合計が2019年3月以来の80億円超えとなり、輸出は過去最高を更新。中国で自動車向けに大口受注があったほか米国でも自動車や半導体製造装置関連向けに受注が増えた。
オークマは19年9月以来20カ月ぶりに合計が100億円を上回った。輸出では中国、欧州向けが前年同月比2倍以上の増加。欧州は自動車や農業機械向けに受注が増え「かなり盛り上がってきている」(オークママーケティング室)という。
ツガミは中国で労働節(メーデー)連休の影響があったものの、スマートフォンや自動車など幅広い業種で好調が継続している。
三菱重工工作機械(滋賀県栗東市)はインドや韓国、インドネシアでも歯車工作機械を受注するなど「中国以外の地域でもようやく動きが出始めた」(事業戦略推進室)。
一方で国内も堅調に推移しているものの、補助金採択待ちで発注を控える動きもあり、輸出に比べ伸び率は低い。今後について「厳しい状況が続く」(ジェイテクト担当者)という声も聞かれる。
- 2021年7月26日
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- 2021年7月21日
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タンガロイは、4コーナー溝入れ工具「テトラ・フォース・カット」のインサート(刃先交換チップ)に、最大溝深さ10ミリメートルに対応する38サイズシリーズを追加し、発売開始した。耐チッピング性と耐塑性変形性に優れた材種も採用し、安定した溝入れ加工を実現する。価格は「TCL38―200―020AH7025」が4818円(消費税込み)。
溝幅は1・5ミリ―4・0ミリメートルを設定。チップブレーカーにはTCL形を採用し、幅広い被削材の溝入れ加工でのスムーズな切りくず排出を実現した。ホルダーには未使用コーナーを保護する形状のインサートポケットを設置し、すべてのコーナーを確実に使える。また、内部給油が可能なCHPタイプホルダーも設定。高圧クーラント供給との組み合わせで確実な切りくず処理と排出、寿命延長に優れた効果を発揮する。
- 2021年7月21日
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- 2021年7月20日
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三菱重工工作機械は、歯車工作機械のホブ盤「GEシリーズ」の新機種として、高精度・高能率を重視した2機種を発売した。高速・高トルク型の主軸の搭載などにより、自動車の電動化や静粛性向上に伴う量産歯車の高精度化、高能率化ニーズに対応する。価格は4500万円から(消費税抜き)。両機種合わせて2021年度に5台の販売を目指す。
発売したのは、加工対象物(ワーク)の最大径150ミリメートルの「GE15HS」と同250ミリメートルの「同25HS」。
同15HSは、主軸に高速・高トルク型ダイレクトドライブ(DD)モーターを採用。主軸の最高回転速度を従来比3倍の毎分6000回転に高めた。テーブル軸には、軸と同じ方向に荷重がかかるスラスト荷重に対する高剛性と高速回転を両立した専用テーブルを搭載し、高能率加工を実現した。
超硬工具を使った加工のRa(面粗さ)を、歯車研削並みの0・4マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以下に抑えることで、熱処理前の仕上げ工程(シェービング加工)を不要にできる。
- 2021年7月20日
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- 2021年7月19日
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日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)がまとめた5月の車名別新車販売は、トヨタ自動車の小型車「ヤリス」が9カ月連続で首位だった。2位はホンダの軽自動車「N―BOX」で、軽としては18カ月連続で首位を維持した。
上位10車種のうち9車種が2020年同月の販売台数を上回った。コロナ禍による生産調整や購入マインドの低下の影響で前年は販売不振が深刻だったため、その反動増が出たようだ。今後に関してはコロナ禍の収束の見通しが難しい点や緊急事態宣言延長、半導体供給不足の影響が懸念されるため、見通しは不透明だ。
3位のトヨタの小型車「ルーミー」は前年同月比3・1倍。20年9月にマイナーチェンジした。4位のスズキの軽「スペーシア」は同2・4倍、5位のダイハツ工業の軽「タント」は同3・2倍。軽自動車においては、スライドドア付きで全高が高い車種の人気が続いている。
- 2021年7月19日
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- 2021年7月16日
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工作機械業界ではコロナ禍により、顧客を自社に招く加工テストや出荷前の顧客による最終確認(立ち会い)でオンライン化が当たり前になった。オークマも当所の手探り状態から進化。技術打ち合わせの効率化などにつなげている。
コロナ禍当所、顧客との遠隔でのやりとりは基本的なことから苦戦した。「機械をどう見せるか、カメラのアングルさえ皆で検討した」と吉村知泰日本・アジア営業本部営業部長は苦笑する。リアルでの対応以上に準備が大変だった。
しかし現在、違和感は減ったという。「リアルとはやり方を変えるべきだと気付いた」と吉村部長。顧客の注目点を事前に聞き、詳しい資料を用意。加工テストや立ち会いでも重点的に見てもらう。
道具選びも工夫した。最初はスマートフォンを使ったが、付属の会話用アプリは顧客が確認したい切削音をノイズとして除去してしまう。カメラも切削面の撮影には不十分だった。
そこで、音と映像で機械と加工状況を正確に伝えるため高性能のマイクやミキサー、高解像度で接写できるカメラなどを購入。担当者用のマイクやイヤホンも別に用意し、ワイヤレスで扱えるよう組み合わせた。「2020年12月に米国で大型商談があり、本気で道具をそろえた。それが顧客に好評で、全社に広めた」と前川久好同営業本部マーケティング室長は振り返る。
前川室長はオンライン化により「目的が明確になった」と評価する。技術担当者と顧客の打ち合わせも今はオンライン化し出張が不要になった。「1日で、出張なら1件だった技術打ち合わせが3、4件可能」と吉村部長も効率化を強調する。
今後の課題は、コロナ禍でどう未知の顧客と出会うかだ。オンラインの自社展示会に手応えを感じつつ「不特定多数のユーザーと出会えるリアル展がない不利益は大きい」と前川室長。オンライン活用の試行錯誤は今後も続きそうだ。
- 2021年7月16日
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- 2021年7月14日
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日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が発表した5月の新車販売台数は、前年同月比46・3%増の31万9318台と8カ月連続でプラスだった。前年同月は新型コロナウイルス感染拡大を受けた初めての緊急事態宣言が発出された時期で、経済活動が制限され新車販売も落ち込んだ。2021年5月はその反動増が大きく出たものの、例年の販売水準までは回復しきれていない。
登録車は同30・9%増の19万3750台と3カ月連続でプラスだった。ただ5月単月としては統計を開始した1968年以降で下から4番目。半導体などの部品不足や、消費マインドの回復が遅れていることなどが影響している。
車種別では乗用車が同34・1%増の16万5932台だった。特に普通乗用車は同63・3%増の9万7430台だった。
軽自動車は同78・6%増の12万5568台と8カ月連続のプラスだった。ダイハツ工業の「タフト」などの新型車や、特別仕様車によるテコ入れの効果が見られた。しかしコロナ影響が無かった19年同月比だと15・6%減という実績で「良い数字ではない」(全軽自協)。
今後の見通しは「各メーカーに半導体不足の影響が広がっており、その影響も読み切れない状況だ」(同)。4月末に発出された3回目の緊急事態宣言が延長されたこともあり、「先行きはかなり不透明だ」(自販連)という。
- 2021年7月14日
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- 2021年7月12日
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スター精密は自動車、油圧・空圧装置分野などの大径部品加工向けのスイス型(主軸移動型)自動旋盤「SR―32JIII」を8月に発売する。背面加工用に6軸型ユニットを搭載した直線制御軸5軸の「タイプA」、Y2軸制御付き8軸型ユニットを搭載した直線制御軸6軸の「同B」がある。消費税抜きの価格はAが1080万円、Bが1230万円。シリーズ合計で年間300台の販売を目指す。
同旋盤は大径部品加工向けの主力機「SR―32J」をリニューアルしたシリーズ最新モデル。最大加工径は32ミリメートル。
正面加工用のくし刃型刃物台回転工具に、加工部品の形状に応じて工具ユニットが取り換え可能な2カ所のカートリッジポジションを備えた5軸型と6軸型のほか、クロス加工専用の6軸型の3タイプを用意。顧客のニーズに応じた最適なツーリングレイアウトを選べるようにした。
機械構造面では、くし刃型刃物台に独自の「スラント型すべり案内面構造」を採用。機械剛性を高め、長時間にわたって安定した高精度連続加工を可能にした。
- 2021年7月12日
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- 2021年7月9日
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乗用車メーカー8社がまとめた4月の生産・販売・輸出実績によると、8社合計の世界生産台数は前年同月比2・3倍の207万8285台と、大幅な増加となった。3カ月連続のプラス。半導体供給不足により生産調整を実施したマイナス影響はあるものの、2020年はコロナ禍で各社が工場稼働を停止しており、その反動増が大きく出た。足元では半導体不足が続く。
海外生産台数は同2・8倍の139万8524台だった。トヨタは同3・1倍の49万3854台で、4月単月で過去最高となった。欧州の一部でコロナ禍によるロックダウン(都市封鎖)の影響はあったものの、米国でライトトラックを中心に販売が好調だった点が押し上げた。
全体の国内生産台数は同64・8%増の67万9761台。ダイハツ工業は同67・5%増の8万2477台で、4月として過去最高だった。軽自動車「タント」などの販売が好調で生産を増やした。
全体の国内販売は同30・2%増の32万3342台。緊急事態宣言などの影響はあったものの、昨年の反動増に加えて、新型車の販売が好調な点が寄与した。
4月に三菱自動車は国内外の3拠点の生産において、計7500台の半導体不足の影響があったとしている。半導体の需給は引き続き逼迫(ひっぱく)している。
- 2021年7月9日
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- 2021年7月6日
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牧野フライス製作所は工作機械に付随する周辺機器の独自開発に参入した。新ブランド「スマートツール」を立ち上げ、独自に開発した工具や取付具、測定具、ソフトウエアなどの商品をそろえる。汎用のマシニングセンター(MC)で専用工程を実現。第1弾として半導体製造装置や真空装置の部品加工専用の3製品を投入する。
工作機械の周辺機器を独自開発することで、加工の品質向上や製品コストの低減、競争力の強化につなげる。まず第5世代通信(5G)や電気自動車(EV)の普及で需要が高まる、半導体製造装置・真空装置の部品加工向けから展開。今後、年間6種類を目標にスマートツールの製品群を拡充する。高山幸久執行役員営業本部長は「機械だけでなく工具や加工技術で顧客の利益を最大化する」と意気込む。
発売した半導体製造装置・真空装置の部品加工用の3製品は、真空バルブなどのシール面の高品位仕上げに使う。手作業での磨き工数を削減し、製造期間を短縮する。一定の制限はあるが、既存のMCに後付け可能だ。
円状のシール面の旋削仕上げをMCで実現する「シンクロスピナ」は、消費税抜きの価格が137万円。エンドミルなどの切削痕を除去するベルト研磨装置「ベルトトラックフィニッシャ」は同54万円。加工制御と専用バイトの組み合わせで従来比6倍の毎分6000ミリメートルの切削送りでシール面を仕上げる「スーパーヘール加工」は同65万円。
販売目標はシンクロスピナとベルトトラックフィニッシャが年間80本、スーパーヘール加工が同100本。3種とも面粗さ(Ra)0・4マイクロメートル(マイクロは100万分の1)を実現する。
- 2021年7月6日
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- 2021年7月5日
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タンガロイは、高硬度鋼旋削加工用インサート(刃先交換チップ)「T―CBN」シリーズに、刃先角25度のY形と同45度のF形を追加し、発売開始した。価格はY型の「2QP―YNGA160404BXA20」が6490円(消費税込み)。計39アイテムで、初年度に3億円の販売を見込む。
既存インサートのV形、D形に加え、同じホルダーを共有できるY形とF形を設定したことで、工具本数を増やさずに加工適用範囲を拡大可能。高硬度鋼加工での加工コスト削減につなげられる。Y形は、V形の刃先を両側から5度ずつ削り落とした形状の両面仕様2コーナータイプ。加工対象物(ワーク)との干渉がしにくく、高硬度鋼部品の細かい「ヌスミ加工」や細いV溝加工などに有効となる。
F形はD形の刃先角を10度狭めたことで、立壁の引き上げ加工などでワークとのクリアランスが大きくなり、切りくずのかみ込み境界近傍に発生する異常損傷などを大幅に低減できる。
- 2021年7月5日
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- 2021年7月2日
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シチズンマシナリーは、主軸台移動型コンピューター数値制御(CNC)自動旋盤「シンコムL20シリーズ」に最小モデルを追加し、6月下旬に発売した。現行モデルに比べて機械本体の奥行きを155ミリメートル短縮し、設置面積を約13%縮小した。工場の狭いスペースを有効活用でき、単位床面積当たりの生産性向上につなげられる。価格は877万8000円(消費税込み)。月間10台の生産を見込む。
新機種「L20VII」は、最大加工径が直径20ミリメートル、主軸回転数は毎分最大1万回転。奥行き寸法は1065ミリメートルで、加工径20ミリメートルの自動旋盤では業界最小クラスという。
くし刃刃物台のバイト本数を6本に増やし、回転工具のツール本数も拡張可能なため、さまざまな加工対象物(ワーク)に柔軟に対応可能。切り粉を細かく切断する「LFV(低周波振動切削)」技術や、最大加工径が直径25ミリメートルのオーバーサイズ対応などもオプションで追加できる。
- 2021年7月2日