切削工具用PVDで新サービス 硬度・酸化温度大幅向上 岡谷熱処理
岡谷熱処理工業は、切削工具向けなどに従来より硬度や酸化温度などを大幅に上げたイオンプレーティング(PVD/物理気相成膜法)の新サービス4種類を本格展開する。約1億円を投じて導入したPVD炉での試作テストを経て、1日2回バッチ処理のフル稼働に切り替える。航空機部品など炭素繊維強化プラスチック(CFRP)加工向けの切削工具や、プレス金型用の高品質な被膜処理需要を取り込む。これにより、これまで年間1億円程度だったPVD処理による売り上げを、同2億円に伸ばす計画だ。
新規に始める成膜法2種類は、厚さ10ナノメートル(ナノは10億分の1)以下の被膜を1000枚程度まで重ねた「MG」と「TG」。MGはプレス金型など向けに最大で硬度(ビッカース硬さ)3500HV、酸化温度1000度C。TGは同3600HV、1200度CでCFRP向けにバリの出にくい切削を行えるのが特徴。
西澤社長は「TGは、複合被膜がCFRPを傷つけにくいのが特徴。また、MGはダイス鋼などに施すと、高価な超硬金型並みの機能となり、大幅なコストダウンに寄与する」とする。また、既存処理を改善した窒化チタンコート(TiN―H)は同3100HV、600度Cに、同窒化チタンアルミコート(TiAlN―H)は同3800HV、900度Cと、それぞれ従来比で約1・3倍に機能アップした。
同社は、金属への真空熱処理やPVDなどを1個から手がける多品種少量に特化した表面処理メーカー。