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- 2026年5月28日
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日刊工業新聞社がまとめた工作機械主要4社の4月の工作機械受注実績は、前年同月比38・7%増の499億9200万円だった。23カ月連続のプラス。輸出が同48・4%増の396億5000万円とけん引した。輸出のプラスは20カ月連続。中国が幅広い分野で引き続き好調だったことや、米国で航空宇宙分野が伸びたことが寄与した。国内は同10・8%増の103億4200万円で、2カ月ぶりにプラスだった。
牧野フライス製作所は輸出が同0・8%減の71億2900万円だったが、前年に中国で自動車向け大量受注があった反動によるもので「全体的に好調」。中国では自動車部品や電気・電子の金型向け受注が出た。米国では航空宇宙が引き続き堅調だ。
ツガミは輸出が同2・3倍の203億7800万円。中国で電気自動車(EV)やデータセンター(DC)などを中心に幅広く受注が伸びた。中国の好調さについて「もっと落ちると思った」としており「今後数カ月で落ち込んでいくのでは」と見通す。
芝浦機械は輸出が同6・3倍の20億6200万円。大型機が「北米の発電用タービンや航空宇宙関連向けが堅調だった」ほか、中国で風力発電向けを受注した。超精密加工機も中国で車載用レンズ、光通信用レンズ向けを複数台受注した。
オークマは輸出が同3・1%減の100億8100万円。米国が航空宇宙や石油・ガス向けを中心に好調で、けん引役となっている。中国も油圧や産業機械向けが好調だ。
国内は半導体製造装置の部品加工向けが伸びている会社が出ている。牧野フライスは1月以降受注が増えている。オークマは「航空や造船、発電関連が良く、そこに半導体製造装置が加わった」とみる。
5月以降の受注動向については、中国市場の不透明さを指摘する声もあるが、全体的には回復基調にあるとの見方が多い。
- 2026年5月28日
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- 2026年5月27日
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内閣府が発表した3月の機械受注統計(季節調整値)によると、民間設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」の受注額は1兆109億円と前月比9・4%減り、2カ月ぶりに減少した。2月に大型の受注案件があって大幅に増えた反動が、3月の受注額に表れた。基調判断は「持ち直しの動きがみられる」のまま据え置いた。中東情勢の影響は、明確には読み取れなかった。
船舶・電力を除く民需のうち、製造業からの受注額は4884億円と同14・2%減少した。非鉄金属業向けの原子力原動機や造船業向けの内燃機関が、前月の大型受注の反動で落ち込んだ。非製造業からの受注額は同6・0%減の5343億円だった。「その他非製造業」向けの「その他産業機械」(食品加工機械や工業炉など)や原子力原動機が、やはり反動で減った。
4―6月期の受注額も、伸びが鈍化する見通しだ。内閣府の調べでは、船舶・電力を除く民需で前期比0・3%増と、1―3月期実績の同6・4%増を下回る水準になると見込まれる。ただ、中東情勢の影響でマイナスまで落ち込むことはないとの見方が強いようだ。
同時に発表した2025年度の機械受注の実績は、船舶・電力を除く民需が11兆5875億円と前年度比8・6%増え、06年度以来の高水準になった。増加は2年連続。非鉄金属業や運輸業などからの受注が増えた。一方で、自動車業界からの受注は米関税措置の影響などで同4・9%減と落ち込み、造船業や金融・保険業、不動産業からの受注も不調だった。
- 2026年5月27日
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- 2026年5月26日
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DMG森精機は同社製複合加工機「NTXシリーズ」向けに2種類のギア加工機能を追加するシステムを開発し、提供を始めた。
ギアシェーパー加工とブローチ加工で、加工プログラムの作成などを支援する。従来はギア加工用の専用機で加工していた同工程を1台に集約し、高精度なギア加工を実現する。
新システム「テクノロジーサイクル『ギヤシェーピング』『ギヤブローチング』」は、対話形式のガイダンスに従って工具の諸元や加工条件などを入力すると、ギア加工用の加工プログラムを容易に作成できる。加工精度は独自の加工パスなどにより、ギアシェーパー加工とブローチ加工でそれぞれギア精度等級「ISO8級」を達成している。
同社は専用機で加工していた機能を同社製の汎用的な工作機械で実現するシステム「テクノロジーサイクル」を展開しており、今回のギヤシェーピング、ギヤブローチングはその一つ。
はじめに加工対象物(ワーク)を複合加工機に設置するだけで、人手による段取り作業を挟むことなく旋削、切削、ギア加工ができ、生産性の向上や高精度な加工を実現する。
- 2026年5月26日
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- 2026年5月25日
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ユニソルは、円錐型ドリルに対応する卓上型研磨機「M―01―A」を発売した。対応サイズは直径2ミリ―13ミリメートル。刃先を平面に仕上げる研磨方式を採用し、刃先の強度向上と延命につなげる。
独自の刃先ポジショナーと微調整が可能なコレットホルダーを採用した。ポジショナーの基準線と刃先が平行になるよう目視による正確なセッティングを容易にし、安定した精度の研磨を可能にした。
ハイスドリルに対応し、オプション部品を追加・交換することで、超硬ドリル、大径・異形シャンクドリル、ローソク型の鉄骨ドリルも再研磨できる。直径12ミリ―26ミリメートルに対応する機種「M―21―A」もラインアップした。
- 2026年5月25日
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- 2026年5月22日
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桐製作所は、高硬度鋼の旋削加工向け工具「VELTIO(ベルティオ)+PLUS」を発売した。被削材は高硬度材(HRC62以上)が最適で、仕上げ加工にも使える。超硬材種(Ft05)を改良し、特殊なコーティングを施した。高価な立方晶窒化ホウ素(CBN)インサート(刃先交換チップ)よりも価格を抑え、代替えニーズを掘り起こす。
すでに同社では自社工場で用いていたCBNインサートをベルティオ+PLUSに切り替えて運用をはじめ、一般のCBNインサートと同等の耐摩耗性を確認した。自社の場合では、CBNインサート購入費を約70%削減できたという。
同社は冷間鍛造プレスによる自動車向け部品が主力。近年は自社ブランドの超砥粒(とりゅう)ホイールを市場投入している。今回は2015年に展開を始めたベルティオブランドのラインアップを充実させる。
- 2026年5月22日
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- 2026年5月21日
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曙工業は、半導体製造装置や航空機部品の受託加工能力を増強する。このほど愛知県安城市内に新工場を稼働させた。半導体製造装置関連や産業機械の小ロット部品を機械加工する。現在本社工場で行っている小ロット受注部品の生産を一部移管し、8月にはフル稼働する計画。同社は半導体製造装置のほか航空機関連の部品加工の受注が好調で、今後、受注増に伴い24時間稼働を目指す。
新工場は2024年夏に機械部品加工の中島製作所(愛知県安城市)から購入したもので、床面積は約1000平方メートル。このほど牧野フライス製作所の主軸テーパ50番のマシニングセンター(MC)1台(写真)と数値制御(NC)旋盤3台、円筒研削盤1台のほか、高精度測定器や自社生産のホイストを導入した。設備投資額は約2億円。
牧野フライスのMCは横型でパレットチェンジャーには7台のテーブルを付けた。1メートル角程度の大物部品加工が可能で、休日稼働を含めた24時間生産を可能にした。今夏には自動車部品加工の専用機の導入を計画しており、これによりフル稼働に移行する。
曙工業は半導体関連で真空ポンプの部品加工が好調に推移していることに加え、航空機関連の製造装置部品やロボット部品の受注も増えているという。生産品目は自動車関連が30%、半導体などの産業機械向けが70%程度になる見通し。
一方でイラン情勢により消耗品やエネルギーコストの負担が増加しており、収益確保が困難となりつつある。省人化設備を導入することで、製造スタッフを増員せずに受注増に対応する。
- 2026年5月21日
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- 2026年5月20日
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DMG森精機は同社製複合加工機「NTXシリーズ」向けに研削加工機能を追加するシステムを開発した。研削加工や砥石(といし)の切れ味を回復させる加工プログラムの作成を支援するほか、センサーによる接触検知で高精度な研削加工を後押しする。従来は専用機で加工していた研削工程を1台に集約し、加工対象物(ワーク)の外径、内径、端面の研削加工を高い効率で高精度に実現する。
同システム「テクノロジーサイクル『グラインディング』」は、対話形式のガイダンスに従って研削条件などを入力すると、専門知識がなくても研削用加工プログラムを作成可能。砥石の切れ味を回復させるためのドレッシングやツルーイング用の加工プログラムの作成も支援する。
弾性波を検知するアコースティック・エミッション(AE)センサーで、砥石とワークの接触検知を高精度に行うことで効率的な研削を後押しする。研削加工時に生じる微細な切りくず(スラッジ)と混入油を、専用の立型大容量クーラントタンクで効率的に回収するなどして安定した面品位を実現する。
同社は専用機で加工していた機能を同社製の汎用的な工作機械で使えるようにするシステム「テクノロジーサイクル」を展開しており、同グラインディングはその一つ。
- 2026年5月20日
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- 2026年5月19日
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ファースト技研は、主力製品のマシニングセンター(MC)で、穴開け加工で出る切りくずを細かく切断して効率を高める機能の提供を始めた。新規出荷品の追加オプションとして提案するほか、過去に販売した機械の一部機種にも追加導入が可能。製品の付加価値を高めて販売増につなげる。
提供を開始したのは「振動切削」という加工法。穴開けのドリルを、回転軸と同じ方向に細かく往復振動させることで切りくずを細かく切断できる(写真)。長い切りくずで工具が破損したり、除去のために作業効率が落ちたりするのを防ぐ。
数値制御(NC)装置に専用のモジュールを追加する必要がある。同社の工作機械は三菱電機製NCを採用しており、最新NCの「M80」シリーズの搭載機であれば追加が可能。追加オプションの詳細な価格は公表していないが、数十万円程度になるという。
確実に切りくずを切断できるようにするため、主軸の回転数に合わせた振動数や振動の長さなどを設定する必要がある。ユーザーのニーズに応じ、導入時の支援も行う。
- 2026年5月19日
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- 2026年5月18日
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阪神内燃機工業は2030年度をめどに、舶用エンジンの生産効率化に向けて自動化とデジタル化を加速する。鋳物部品のバリ取りや組み立て工程の一部にロボットを導入し、重筋作業や繰り返し作業を置き換える。併せて、3Dスキャナーと砂型3Dプリンターを活用し、鋳造用砂型のデータ化と木型の削減を進める。木型保管スペースは現状の倉庫4棟から2棟に減らす。保管スペースの圧迫を解消し、鋳物仕上げ工程の自動化のスペースを確保する。省人化を進め、人手不足に対応する。
エンジンの組み立て工程では、シリンダーヘッドのトルク管理が必要なボルト締結を自動化する。例えば、1本のシリンダーに10本のボルト締結が必要な場合もあり、6気筒などは同じ動作を繰り返す負担が大きい。自動化により作業者の負担軽減を図る。鋳物仕上工程である、バリ取りや押し湯切断、外観検査などにロボットの導入を検討する。
砂型のデジタル化も推進する。25年に3Dスキャナーを導入しており、砂型をデータ化し、順次木型を廃棄する取り組みを本格化した。データ化した砂型は3Dプリンターで再製作できるため、木型の保管スペースを減らせる。数十年に1度しか出荷されない旧型エンジン部品などを中心にデータ化を進める。
自動化、デジタル化の推進に向け、工場も再編する。明石工場の大型エンジンの組み立てを播磨工場に集約する計画に入った。播磨工場には設備増設を見据えた約5800平方メートルの未利用地があり、新たな建屋を設け、設備を整備する計画。
鋳造工場の玉津工場は、木型倉庫のスペースを縮小することで、鋳造の仕上げ工程の自動化を進める。事務所や厚生棟の新棟建設も構想する。
明石工場は主に機械加工専用工場とする。大型エンジンの組み立てを移管した空きスペースは、第2の柱の事業である鋳造・金属機械加工(CMR)の強化に向けた新規設備の導入に充てる。3Dスキャナーや砂型3Dプリンターを活用し、図面が残っていない古い設備の部品の再製作を手がけるリバースエンジニアリングなどの事業拡大を狙う。
- 2026年5月18日
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- 2026年5月14日
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日本工作機械工業会(日工会)が28日発表した3月の工作機械受注(確報値)は、前年同月比28・0%増の1934億7000万円となり、過去最高を更新した。従来最高の18年3月の1826億6000万円を上回った。9カ月連続のプラス。外需が同40・4%増の1429億9700万円とけん引した。外需も25年12月の1187億3800万円を上回り過去最高だった。中国を中心とするアジアが好調だった。
外需の地域別では、アジアは同35・3%増の750億円で、このうち中国は同42・3%増の513億円。いずれも26年1月を上回り過去最高だった。同日都内で会見した坂元繁友会長(芝浦機械社長)は「電気自動車(EV)関連で大きな設備投資があった。データセンター(DC)やヒューマノイドロボットも増えている」と中国の好調要因を挙げた。
インドは同18・8%増の116億円で、初めて100億円を超えた。電子機器製造受託サービス(EMS)関連の需要が続く。
北米は同57・9%増の430億円で、25年12月を上回り過去最高。欧州は同35・4%増の223億円となり3カ月ぶりに200億円を超えるなど、主要地域がいずれも伸びた。
内需は同2・5%増の504億7300万円となり、3カ月連続のプラス。500億円超えは42カ月ぶりだが、坂元会長は「久しぶりに500億円を超えたがダイナミズムに乏しい」と分析する。
主要4業種のうちプラスは電気・精密のみで、最も数値の大きい一般機械は同3・7%減の184億円で4カ月ぶりにマイナス。自動車は同29・6%減の83億円で、6カ月ぶりにマイナス。足元では設備投資を抑え既存設備を維持する状況が目立つという。ただ、坂元会長は今後について「底抜け感はあり、秋以降に自動車関連は期待できる」と見通す。
25年度の受注総額は前年度比12・9%増の1兆7046億6700万円だった。歴代3位の数値で、外需が同18・1%増の1兆2585億7100万円で、過去最高を更新した。内需は同0・4%増の4460億9600万円で、3年連続の5000億円割れ。
- 2026年5月14日
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- 2026年5月13日
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三菱マテリアルは超硬工具向けタングステンの2030年度のリサイクル原料使用率100%に向けて、日本とドイツの拠点でスクラップ処理量を従来比数十%高める。米国でも処理能力の強化を検討する。タングステンの原料調達は中国の輸出規制強化などの資源リスクを抱え、価格高騰や需給逼迫(ひっぱく)に直面しており、中期的に課題を解決する。相場状況などを注視しつつ、設備投資を前倒しする可能性もある。
三菱マテリアルは世界市場を取り巻く環境変化を受け、「中期経営戦略」を練り直し、30年度までのタングステン製品生産でのリサイクル率を従来の80%から100%に引き上げた。同リサイクル比率は現在60%を超す。
使用済み超硬工具などのスクラップ処理能力の増強は、完全子会社の日本新金属(大阪府豊中市)の秋田市の工場と、傘下に入れたエイチ・シー・シュタルク・ホールディングス(HCS)のドイツ拠点でヤードや処理装置などを拡充する。具体的な時期は未定だ。
一方、米国では、三菱マテリアルの米国法人に26年4月に新設した資源循環事業部が、HCSと連携し今後の強化策を検討していく。
超硬工具に使うタングステンは希少金属(レアメタル)の一つ。主要産出国である中国からの鉱石由来原料の調達は10年ごろの尖閣問題や、関税をめぐる米国との対立に端を発した25年の輸出規制強化でリスクが高まった。
三菱マテリアルの小原和生執行役常務加工事業カンパニープレジデントは、「地政学的状況を見極めながら、中国由来品に頼らなくてもいいように準備を進める。国内での秩序あるスクラップ回収の促進も重要なテーマだ」としている。
- 2026年5月13日
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- 2026年5月11日
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超硬工具の原料であるタングステンは、世界生産の約8割を握る中国の輸出規制で需給が逼迫(ひっぱく)している。中東情勢などもあって国際相場が高騰する中、国内の工具メーカーは価格転嫁すべく6月受注分からの値上げを発表。併せて、原料を十分に確保できないため供給を制限する動きがある。中長期的には、使用済み工具からの資源の回収・再生、国内での有効活用をめぐって国を挙げた取り組みが必要になっている。
「今回のタングステン危機は(尖閣問題による時とは)次元が違って輸出規制の相手は世界各国。これが長引くと、日本でクルマも半導体も作れなくなってしまう」。超硬工具の再研削などを手がけるマイスターの高井作会長はこう訴える。
タングステンはレアメタル(希少金属)の一つで、ダイヤモンドに次ぐ硬度と高い耐摩耗性、耐熱膨張性などが特徴だ。タングステンが主成分の超硬合金を用いた超硬工具は、自動車、航空機、半導体関連の部品の切削加工などで広く利用されている。タングステンは砲弾をはじめとする軍需にも欠かせない。
最大の生産国である中国は2025年2月から輸出を規制し、26年1月からはデュアルユース(軍民両用)品目として規制を強化した。日本は十数年前、尖閣問題に伴う輸出規制に見舞われたが、今回は関税をめぐる米国との対立でリスクが高まった。
中間原料であるパラタングステン酸アンモニウム(APT)の国際相場は足元で、約1年前の7倍に跳ね上がった。26年の年明けからは3倍と上昇幅が大きい。日本は中国から比較的安価に調達してきたが、中国依存のツケが噴き出している。
工具各社は、超硬製品について6月1日受注分からの値上げを打ち出した。三菱マテリアルは国内向けの超硬ドリル・エンドミルで従来比20%以上、超硬素材(ロウ付けバイト用など)で3倍以上引き上げる。
住友電気工業は値上げ幅を超硬インサートで13%以上、ソリッドドリル・エンドミル製品で60%以上、ロウ付けバイト製品で20%以上とした。
タンガロイは、超硬シャンクを5―18%、超硬エンドミル・ドリルを10%以上、刃先交換インサートを8・5―11%値上げする。
オーエスジーは25年12月1日からの受注分について超硬エンドミル・ドリルなどを7%値上げしたほか、MOLDINOは26年2月2日受注分から超硬エンドミル、ドリル、インサートなどを10%以上引き上げた。いずれの企業もタングステンなどの高騰分について、生産の最適化、コスト削減など内部努力だけでは吸収しきれないと判断したものだ。メーカーによってはここ約1年で、再値上げを表明したところもある。
世界的にタングステンの需要が供給を上回る状況下、各社は顧客に供給制限への理解を求めている。
MOLDINOはホームページに「超硬製品の受注制限について」と題する文書を出した。「原材料の安定的な調達の見通しを立てることが困難」で、製品の安定供給と品質維持のため「弊社予想を超える受注、新規受注の制限、または停止」を実施していく。
三菱マテリアルの子会社、日本新金属はタングステン製品について、4月1日以降の出荷分から「25年度実績の約80%を目安に受注数量を制限」している。
自動車駆動系部品向けが主力の富士精工は、超硬のドリルやリーマなど、連結売上高の約30%を占める製品で素材調達逼迫の影響が懸念されるという。同社はタングステンをパウダーでなく、ある程度の工具形状に焼結した超硬合金として素材メーカーから仕入れている。その在庫が逼迫し、代替調達ルートの確保に奔走している。
タングステンの細る供給力を補う意味で欠かせないのが、超硬工具のリサイクルだ。かねて日本では循環経済の流れを確実にしようと地道に取り組み、国内超硬工具業界での使用済み工具の回収率は現状5割とみられる。回収スキームさえしっかり構築すれば回収率アップが期待できるが、鉄くずなどと一緒に溶解されたり、高値で買い取る中国などに流出したりといった課題が指摘されている。
機械工具工業会の佐橋会長は「リサイクルの重要性を顧客に広く知らせ、回収しやすい流れを作ることが大事だ」と説く
工具メーカーなどで構成する日本機械工具工業会の佐橋稔之会長(住友電工常務)は「政府の力を借りて海外に流出するタングステンをいかに減らせるか。業界が一つとなって、リサイクルの重要性を顧客に広く知らせ、回収しやすい流れを作ることが大事だ」と説く。経済産業省は経済安全保障の観点を踏まえ、工業会メンバーらへのヒアリングを重ね、今後何らかの支援策を講じる考えだ。
住友電工は約159億円を投じ28年に富山市でタングステンの新工場を稼働し、生産能力を現状比5割高める。タングステンリサイクルなどを手がける子会社のアライドマテリアルが、同社の富山製作所近隣で新工場を建てる。投資額の半分は経産省の「経済安全保障推進法に係る重要鉱物助成金」を充てる計画だ。
同富山製作所は25年に、使用済み超硬工具などから回収したタングステンスクラップを精錬した三酸化タングステンの製造能力を従来比約3割増強済み。今回の投資では工具に使えるよう、後工程である三酸化タングステンの還元・炭化の能力を高め、リサイクル能力全体を底上げする。
三菱マテはアジア・欧・米の3極で、工具向けタングステンのリサイクルを強化している。25年秋に再設定した中期経営戦略で、30年度のリサイクル原料使用率の目標を従来の80%から100%に引き上げた。現在の同使用率は60%を超すが、目標までの開きを早期に埋める。
このため子会社の日本新金属の秋田市にある工場、三菱マテ傘下のエイチ・シー・シュタルク・ホールディングス(HCS)のドイツ拠点でともにスクラップ処理量を従来比数十%高める。投資時期は未定だが、専用ヤードや処理装置などを拡充する。リサイクル拡大の余地が大きい米国では、三菱マテ米法人にある資源循環事業部がHCSと連携し、強化策を検討している。
日本機械工具工業会はタングステンの調達リスクを回避するため、超硬工具スクラップのリサイクル促進ガイドライン(指針)を改訂し、近く公表する。ガイドラインは12年に発行され、18年に一部見直されたが、今回①レアメタル確保に向けた政府の施策②リサイクルの現状③リサイクル窓口の事業者一覧―などの項目を改訂。最適な分別・回収方法、国内還流ルートへのスクラップの集約についても言及する。
工具業界が対応を迫られるのは、バージン原料の品不足だけではない。ある企業トップは「原料と同様、スクラップの価格がとんでもなく高騰している」とこぼす。中国が世界から高値で買い集め、単価がどんどん上がっている状況だからだ。
スクラップ業者がかなり高い値段で回収しており「国益を考え外に出さないモラルを重視するか、足元の日銭を得るかの究極の選択。このままだと将来、工具が作れなくなることを顧客にどう伝えていくかが悩みどころだ」(企業のトップ)。
タングステンの調達は、いつになったら先行きの見通しが立つのか。製品の安定供給と品質の確保に向け工具業界の取り組みは持久戦になりそうだ。マイスターの高井会長は「各社の努力に加え、使用済み刃具の再研削やハイス(高速度鋼)工具への一部代替、新たな資源採掘の模索など総合力で臨む必要がある」と話している。
- 2026年5月11日
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- 2026年4月30日
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テルミック(愛知県刈谷市、田中秀範社長)は、1月末から機械加工製品の検査工程をペーパーレス化し、同工程の生産性を10%以上向上した。
加工精度を検証する際に使用する検査図面をタブレット画面で確認する。ノギスで測定したデータは即時にタブレット画面に記載されてデータ化される。紙による出入力作業がなくなるとともに記入ミスを低減できることから、中国の子会社で導入、近く日本でも導入する。
金属部品加工を手がけるテルミックは生産性向上を図るため、全社でデジタル改革(DX)を推進している。これまでアプリケーションを自社開発し、設計図のデータ化や図面をスマートフォンで読み取り3次元(3D)画像に変換するアプリを導入。また外国為替及び外国貿易法(外為法)対応で図面のチェックにAI(人工知能)を導入するなどしている。
ペーパーレスに取り組む検査工程は、これまで製品をノギスなどで測定し、検査図面に手書きで記入していた。今回、自社開発したアプリを導入することで検査図面のペーパーレス化を実現し、作業時間を大幅に短縮できた。
同社は1月末まで、加工した製品の78%を中国の大連と深センの子会社で、22%を日本の拠点でそれぞれ検査していた。中国で導入したところ、検査時間が短縮し、現地で検査できる製品の比率が従来と同じ作業時間で87%にまで向上。近く日本でも導入することで、中国での検査比率を90%にまで引き上げる。
これにより受注増のボトルネックを解消しつつ、日本で検査工程に携わっている10人の検査員は高精度、高機能製品の検査に特化することが可能になる。
同社には、国内協力メーカーのほか中国に協力工場が100社ある。同社内でペーパーレス化が浸透した後は一部協力メーカーにも導入を促す。
- 2026年4月30日
