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- 2024年12月19日
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日刊工業新聞社がまとめた工作機械主要4社の11月の工作機械受注実績は、前年同月比16・4%増の345億2900万円と6カ月連続で増加した。前月比は5・4%増となり、2カ月ぶりに増加した。地域ごとに差はあるが大手企業を中心にまとまった受注がある一方、中小企業では設備投資の様子見が続くなど、市況はまだら模様と言えそうだ。
4社合計の輸出は前年同月比13・9%増と3カ月連続で増加。国内は同23・1%増と4カ月連続で増えた。
牧野フライス製作所は輸出が前年同月比で4カ月連続で増加。「中国で新エネルギー車(NEV)関連向けの大口受注が下支えした」。米国は微増だったが、航空機向けが堅調に推移。「米ボーイングのストライキによる受注への大きな影響はない」という。
オークマも輸出が2カ月連続で増加。大手を中心に中国でNEVや半導体関連向けで動きがあり、「米国で航空宇宙やエネルギー分野向けが比較的堅調だった」。
中国市場が主力のツガミは輸出が前月比15・0%増と3カ月連続で増加した。同社幹部は「前月比で8月から受注が上向くのは通常の動き。11月は堅調だったが、先行きの不透明感は続いている」と慎重な見方を示す。
国内では芝浦機械が前年同月比で4カ月連続で増加した。造船関連や産業機械、輸送関連向けで横中ぐり盤を受注するなど「大型工作機械の新規や大型特殊機のレトロフィットが受注を底上げした」。
牧野フライス製作所は国内が2カ月連続で前年同月比30%以上の増加となったが、「受注が低迷した2023年との比較で大きなインパクトはない」と受け止める。
オークマは国内が4カ月連続で増加。大手や中堅企業で業種を問わず堅調に推移したが、「欧米や中国と同様に日本も中小企業の受注が本格的に回復していない」とした。
- 2024年12月19日
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- 2024年12月12日
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ニデックマシンツールは、自社の門型5面加工機の動きや加工対象物(ワーク)の状態をパソコン上でシミュレーションできるソフトウエアを開発し、発売を開始しました。加工前の試削や数値制御(NC)プログラムの修正を繰り返すデバッグ作業をなくし、生産性を2倍以上に高められる。労働人口の減少に対応し、オペレーターの作業負荷低減につなげる。
パソコン上の仮想空間で加工時間やワーク加工面の状態推定、加工機の動作などを確認できる。
自動車用金型の加工に適した自社製門型5面加工機「MVR―Hxシリーズ」からソフトの対応を始める。価格は未定。
デバッグ作業は通常、実際の加工時間と同等以上かかるという。工場で実際に機械を動かして事前検証する手間をなくし、生産性向上につなげる。
- 2024年12月12日
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- 2024年12月10日
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工作機械主要19社の2025年3月期(2社は24年12月期)の業績は、売上高を公表している17社のうち10社が減収を予想する。営業損益では公表する13社のうち7社が減益、3社が増益、2社が赤字、1社が黒字転換を見込む。受注状況は地域や業種、企業ごとに異なるまだら模様で、どう織り込むかで業績見通しが分かれる。トランプ次期米大統領による輸入関税強化の動きもあり、収益環境は先行き不透明感を増している。
牧野フライス製作所は25年3月期の営業利益予想を、24年4―9月期(上期)実績を踏まえて4月公表比15億円増の170億円、受注計画を同125億円増の2275億円に上方修正した。
地域別の受注では国内、中国、インド、米国などで従来計画からの上振れを見込む。中国では新エネルギー車(NEV)向けで底堅い受注が継続。半導体関連向けでも設備投資の動きがあり、宮崎正太郎社長は「従来とは異なる要求水準から次世代向けの投資と見ている。ベトナムなどに生産拠点を設ける動きも受注を底上げする」と見る。
ツガミも25年3月期の営業利益予想を5月公表比35億円増の185億円に上方修正した。上期の売上高が中国で前年同期比43・1%増の360億円と大幅に伸びるなど過去最高を更新した。
今後の見通しについて同社幹部は「不透明感が続き受注環境は世界的に良くないが、大手を中心とした大口案件を取り込み着実に事業を進める」と述べる。
シチズンマシナリー(長野県御代田町)は25年3月期の売上高予想を5月公表比20億円増の750億円に上方修正。補助金効果があった中国など上期の地域別の受注動向を反映した。
一方、オークマは25年3月期の営業利益予想を同40億円減の175億円、受注計画を同50億円減の2150億円に下方修正した。地域別の受注はアジア・パシフィックで従来計画から上振れを見込むが、日米欧では下振れを予想。米国では中堅・中小企業を中心に設備投資の先送りの影響を受ける。
DMG森精機は24年12月期の営業利益予想を4月公表比145億円減の440億円、受注計画を7月公表比300億円減の5000億円に下方修正した。欧米の需要が8月以降に調整局面に入るなど、「お客さまの意思決定が大変長期化している」(森雅彦社長)。受注回復の想定以上の遅れや、新統合業務パッケージ(ERP)導入に伴うドイツ工場での一過性の生産混乱による出荷の遅れなどから業績を見直した。
ブラザー工業も産業機器事業で受注回復の遅れなどを反映し、25年3月期の売上高を5月公表比247億円減の505億円に下方修正した。
- 2024年12月10日
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- 2024年12月9日
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日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が発表した11月の車名別新車販売は、トヨタ自動車の小型車「ヤリス」が前年同月比11・3%増の1万8808台で2カ月連続で首位となった。ホンダの軽自動車「N―BOX」が同14・5%減の1万8028台で僅差で2位となった。
ヤリスは型式認証問題の影響で生産を停止した小型スポーツ多目的車(SUV)「ヤリスクロス」の生産が順調に回復し、販売を伸ばした。N―BOXは2023年10月の全面改良から1年が経過、新車効果が薄れたことで前年割れとなった。
3位はトヨタの「カローラ」で前年同月比21・6%増の1万6193台。4月の「カローラセダン」「同スポーツ」などの一部改良効果が寄与している。
4位はスズキの軽「スペーシア」で同26・9%増の1万4472台。9月に全面刷新し発売したアウトドアテイストの「スペーシアギア」が貢献した。5位はダイハツ工業の軽「タント」で同27・7%減の1万1561台。上位5位までが1万台超となった。
その他の上位車種ではトヨタの高級ミニバン「アルファード」が同74・1%増の8866台、ホンダの小型ミニバン「フリード」が同35・1%増の7896台と伸長する一方、トヨタの小型ミニバン「シエンタ」は同20・8%減の8871台だった。
また、10月に5位だったトヨタの小型車「ルーミー」は同59・5%減の4530台で順位を大きく落とした。同車をOEM(相手先ブランド)供給するダイハツが法規対応で現行モデルの生産を停止したことが影響したようだ。
- 2024年12月9日
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- 2024年12月5日
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エフ・アイ・ティは、制御装置やタッチパネル、センサーなどの中古工場自動化(FA)機器の買い取り・販売サイト「FA機器.com(ドットコム)」で、工場で使う安全対策品などの新品製品の販売を始めた。
機械、ロボット、測定機などの中古品の扱いも始めており、製造業ユーザーの利便性を高める。2023年9月期に3億円だった同事業の売上高で26年9月期に7億円を目指す。
新品の第1弾として、岩田製作所(岐阜県関市)製の安全対策品1200種の取り扱いを始めた。機械の角を覆って作業者のけがを防ぐクッション護材や、注意喚起用の黄色と黒色のテープなどをそろえた。同社製のワッシャーやシムの販売も計画している。
また新品調達のため、大手FA機器商社とも交渉中。仕様が多彩な製品で発注しやすいよう、25年夏をめどにサイトもリニューアルする。検品・補修や新規扱い品開拓のスタッフも増やす。
機械などの中古品は、買い取りを部品採取用に23年4月に始めた。さらに検品や補修、値決めなどの知識と経験を蓄え、販売も本格化した。在庫用に本社近隣で床面積約200平方メートルの倉庫も24年3月に購入。FA機器を含め在庫を現在の4万点から3年後に8万点に増やす。
エフ・アイ・ティは自動化設備の製作が祖業。FA機器ドットコムを業界に先駆け09年に始めた。サイトは月に20万ページの閲覧があり、23年9月期は全社売上高の7割を同事業が占めた。近年は新規参入が増え競争が激化している。サイトの知名度と設備製作の技術を生かし、扱い品を広げ差別化する。
- 2024年12月5日
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- 2024年12月3日
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川田鉄工は、厚さ1ミリメートル以下の薄肉の加工対象物(ワーク)でも歪みがなく、強くチャッキングできるスクロールチャックを発売した。ワークの外径と内径をそれぞれ押さえる爪を持ち、つまむようにつかむのが特徴。他社製を含む従来品と違って、外爪と内爪が独立してストロークできるため、内外径と厚みへの対応範囲が広い。
完全受注生産品。チャックの仕様などで異なるものの、参考価格は約200万円から。
新製品の「自動スクロールチャックEPS―207―25―2P―6WC」は、外爪と内爪の個別制御で、ワークが歪む課題を解消した。
同社従来品と同様に爪の移動はサーボモーターによって自動で行え、手動操作が不要。
同モーターの制御で把握力の任意設定が可能で、多様な材質のワークに合わせて調整できる。
- 2024年12月3日
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- 2024年12月2日
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ヤンマーパワーテクノロジーは、内航船向けに開発している発電用水素燃料4ストローク高速エンジンで、出力約500キロワットでの陸上試験運転に成功した。これを受け、2026年の実証運行に向けて船級認証の取得を目指す。
今回の試運転では、少量のディーゼル燃料を着火用に用いて水素を燃焼させるパイロット着火式エンジンの実証を行った。
同方式の水素エンジンとしては世界最高レベルの水素燃料比率を達成し、約500キロワットの出力を業界に先駆けて実現した。今後は着火用にバイオ燃料を用いることでゼロエミッション(排出ゼロ)を目指す。
同試運転は、日本財団の水素燃料の船舶(ゼロエミッション船)開発プロジェクトの一環。水素エンジンの開発のほか、水素エンジン発電機とバッテリーの組み合わせによるハイブリッド電気推進船も開発中。
ヤンマーパワーテクノロジーは、船舶の開発・建造を担う上野トランステックなど6者とゼロエミ船の開発を進めている。
- 2024年12月2日
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- 2024年11月29日
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エスペックは環境試験装置のマザー工場である福知山工場で、協働ロボットなどを活用した作業の自動化を進める。このほど試験装置外装材の溶接後のバリ取りや研磨加工用のロボット1台を本格稼働し、年間279時間分の人手作業を自動化した。外装材の配置や入れ替えといった前後工程の自動化も検討する。今後、人工知能(AI)などの活用を視野に入れ、多品種の外装材への適用を進めて人材不足対策に生かす。
協働ロボットを導入したのは、福知山工場で板金加工を担う第1工場棟。外装材のバリ取りや研磨工程は従来、重いエア工具を使って人手で作業しており、長時間の作業は負荷が大きかった。自動化により、人手の作業負荷を軽減する。
同工場ではすでに加工、組み立て後の内外装材と冷凍機モジュールを、別の工場棟にある組み立て工程に搬送するために無人搬送車(AGV)2台を導入済み。冷凍機モジュールの気密試験では、圧力センサーによる自動合否判定を採用し、人による判定のバラつきをなくすなど作業の自動化を進め、働きやすい環境を整備している。
環境試験装置の標準品は複数のユニットを組み合わせて製作するが、各ユニットは数十から百数十種類あり、製品仕様は数十万通り以上に及ぶ。
そのため生産工程の全てを自動化することは難しいが、「人の技能が必要なところに人材を配置できるよう、それ以外の部分は自動化していく」(末久和広取締役常務執行役員)とする。
- 2024年11月29日
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- 2024年11月28日
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オークマは、横型マシニングセンター(MC)の新型「MA―4000H」を開発。人工知能(AI)を用いた診断機能などにより、高稼働率や加工能力の増強を実現した。11月1日に発売開始し、2025年4月から出荷開始予定。標準仕様価格は消費税抜きで3470万円。
AIが主軸や送り軸の異常を診断し、機械状態を見える化したり、加工状態をリアルタイムに確認し、異常を検出すると工具を自動退避したりする機能をオプションで用意。切粉をスムーズに処理する機内カバー構造などで機械停止による生産ロスを最小化した。
標準主軸は最高回転速度が毎分1万5000回転。最大出力は従来比46%増の38キロワット、最大トルクは同48%増の242ニュートンメートル。また、加工能力を格段に増強した高剛性テーブルを搭載した。最大加工能力は鋼材で同72%増の毎分483立方センチメートル、アルミ材で同2・17倍の毎分4340立方センチメートルと大幅向上した。
新開発の主軸冷却装置の自動運転制御で従来の非加工中に加え、加工中の省エネルギーも実現。同装置の消費電力を40%削減した。
- 2024年11月28日
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- 2024年11月27日
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日本工作機械工業会(日工会)が発表した10月の工作機械受注実績(確報値)は、前年同月比9・4%増の1225億5000万円と、3カ月ぶりに増加した。中国やインドなどで電気・精密向けの大型受注が寄与したアジアが好調に推移し、全体を押し上げた。日工会の稲葉善治会長(ファナック会長)は「需要全体として底堅さはあるが、市場の改善が勢いよく進んでいるとはいえず、物足りない状況が続いている」と慎重に見る。
地域別の受注額は中国が同48・7%増の289億9600万円と7カ月連続で増加。業種別では一般機械向けが同63・1%増の93億円、自動車向けが同22・3%増の102億円、電気・精密向けが同2・5倍の76億円だった。4カ月ぶりに前月比も増加した。
インドは前年同月比3・3倍の97億1200万円と22カ月ぶりに過去最高を更新。ベトナムは同3・9倍の38億円と9年6カ月ぶりに30億円を超えた。アジア全体の電気・精密向けは中国、インド、ベトナムでの大型受注が寄与し、31カ月ぶりに150億円を上回った。稲葉会長は一連の大型受注について「IT関係などではないかと認識している。今後も大型案件が受注を下支えする状況が続くことを期待している」と述べた。
一方、北米は同23・0%減の212億300万円と3カ月連続で減少。米大統領選を控えた設備投資の様子見などが影響し、42カ月ぶりに220億円を下回った。欧州は同9・3%減の165億900万円と10カ月連続でマイナス。ドイツを中心に停滞感は根強いが、英国やトルコなどでまとまった受注があり、4カ月ぶりに150億円を上回った。
稲葉会長は今後について「中国では車関連で世界市場を見据えた積極的な投資の持続が予測される。産業機械や電気機器関連で意欲的な企業によるまとまった投資が見込まれる」とした。
一方、欧州は「欧州連合(EU)主要国の状況は依然として厳しく、慎重に見極める必要がある」との見方を示した。
- 2024年11月27日
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- 2024年11月26日
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ブラザー工業はダイカスト部品のバリ取り専用機「デバリングセンター スピィーディオ DG―1」を発売した。部品の製造工程で発生する素材のバリを取り除くことに特化して、数値制御(NC)加工機によるバリ取りよりも短時間での工程の立ち上げを可能にした。消費税抜きの価格は988万円。
加工経路の自動生成やタッチパネルでの経路補正などの独自機能で、NCプログラムの知識がなくても容易に工程を立ち上げられる。ロボットやNC加工機で必要な加工作成時の再教示やプログラム修正の繰り返しが不要になり、立ち上げ時間を約70%短縮できる。
移動速度や力を抑える低トルク機能により、ミスが発生しても機械が異常な接触を検知して停止し、故障のリスクを減らせる。
毎分2万回転の主軸モーターを搭載。バリ取りに適した剛性を持つ主軸で、バリの大きさに影響されずに安定した加工を実現した。また、主軸が工具の脱着を行うピックアップ方式の自動工具交換装置(ATC)は、切削工具6本を収納でき、バリの形状に合わせた工具を選べる。
- 2024年11月26日
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- 2024年11月25日
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DMG森精機は二つの主軸を搭載したターニングセンター「NLX2500/700 2nd Generation」を発売した。主軸の切削能力を同社従来機比25%向上。刃物台のミーリング能力も同40%高め、マシニングセンター(MC)と同等の性能を備えた。複雑な加工形状への対応力を向上し、工程集約や自動化をしやすくした。電気自動車(EV)や半導体製造装置など幅広い部品の加工に対応する。
シミュレーションによる性能予測と熱変位解析による機械構造の最適化で、長時間の加工でも安定した精度を実現。X軸とZ軸のすべり案内は摺動(しゅうどう)面幅を同10%広げ、振動減衰性と動剛性を高めた。左右の両主軸では同等の切削能力を備える。
ロボットシステムやガントリローダー、棒状の素材を供給する「バーフィーダー」などの自動化システムと組み合わせることで夜間の無人運転にも対応。長時間の連続稼働を実現する立型大容量クーラントタンクも選択でき、安定した長時間稼働を支援する。
NLX2500シリーズは同社のベストセラー機で、新機種が第5世代。
- 2024年11月25日
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- 2024年11月22日
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乗用車メーカー7社の2024年4―9月期連結決算はホンダ、スズキ、SUBARU(スバル)を除く4社が営業減益となった。
7社合計の営業利益は前年同期比6・1%減の3兆9904億円となり、2年ぶりの前年割れとなった。為替のプラス効果があったものの米国や中国、アジア市場での競争激化で販売奨励金の増加などがマイナス影響となった。25年3月期連結業績予想の下方修正も相次いだ。
4―9月期は市場競争環境の激化が顕著だった。日産自動車は主力の米国市場でハイブリッド車(HV)需要を取り込めていないことに加え、在庫削減や競争環境に対応するため販売奨励金の増加が収益を圧迫。営業利益が前年同期比90・2%減と落ち込んだ。マツダも販売奨励金の増加が響き同20・5%減となったほか、三菱自動車は米国やタイなどで販売費を積み増したことがマイナス要因となり、同12・9%減だった。
一方でホンダは販売奨励金の増加などの影響があったものの、商品価値向上に見合う値付けの効果などにより営業増益となった。スズキは収益改善努力に加え、国内4輪事業の価格改定やモデルミックス改善が貢献し、営業利益が同40・7%増と伸長。スバルは米国で小売り販売が堅調な中、販売奨励金の増加を抑制できたことなどが寄与し同19・5%増となった。トヨタ自動車は認証問題の対応で一部車種の生産を停止した影響や一時費用がある中でも、原価改善や営業面の努力で前年並みの利益水準を確保した。
世界販売台数では日本やパキスタン、欧州などで4輪車販売が伸びたスズキ、北米販売が過去最高となったマツダ、東南アジアや北米、日本などが増加した三菱自を除き、4社が前年割れとなった。
25年3月期連結業績予想は日産とマツダが売上高、営業利益を下方修正する一方で、ホンダは売上高を、スズキは営業利益を上方修正した。販売台数目標は三菱自を除き6社が従来予想を引き下げた。
- 2024年11月22日
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- 2024年11月21日
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OSGがM&A(合併・買収)によりダイヤモンド工具事業の展開を加速している。
7月に微細なダイヤモンド工具の製造販売を手がけるコントア・ファイン・ツーリングなどの持ち株会社を買収してグループ傘下に収めたのに続き、子会社の日新ダイヤモンドが10月1日付で、極小径の単結晶ボールエンドミルを得意とするマイクロ・ダイヤモンドの事業継承を決めた。中長期の課題としている微細精密加工分野の開拓に弾みを付ける構えだ。
OSGのベルギーの現地法人がコントアの持ち株会社であるオランダのプレシジョン・ツールズ・ホールディングの全株式を買い取り、完全子会社化した。コントアは眼鏡や眼内レンズを加工する旋盤向けのダイヤモンド工具を扱い、「世界トップクラスのシェアを持つ」。この分野の実績が乏しいOSGグループにとって、新たな顧客層とダイヤモンド工具の研削技術の獲得が期待できる。
また、日新ダイヤが事業継承するマイクロ・ダイヤモンドが扱う極小径のエンドミルやドリルなどのダイヤモンド工具は、大学などの研究施設のほか、半導体や医療関連などが利用している。特に極小径の単結晶ボールエンドミルを製造できるのは同社が世界で唯一とされる。
OSGは以前から、ノダプレシジョンやイタリアのフューディといったダイヤモンド工具メーカーをグループ傘下に置いている。今回のコントアの買収とマイクロ・ダイヤモンドの事業継承でグループ内のダイヤモンド工具の関連会社の売上高は50億円程度に上り、「OSGグループはダイヤモンド工具業界でトップクラスの地位になる」という。
OSGは関連会社の売上高を2030年までに100億円に伸ばす青写真を描く。かつて売上高の過半を自動車業界向けが占めていた同社は、電気自動車(EV)の普及によるエンジンやトランスミッション製造における工具需要の減少を見据え、微細精密加工分野の開拓で顧客の裾野を広げてきた。
現状で自動車向けの売上高は「5割を切っている」状態で、他業種への販売先の平準化は着実に進んでいる。今後も伸長させる微細精密加工で、ダイヤモンド工具は「一つの目玉になる」と大沢社長は期待をかけており、その行く末が顧客層拡大の成否を占う試金石になりそうだ。
- 2024年11月21日