-
- 2025年5月22日
-
自動車メーカー各社の新車の収益性が減少傾向にある。国内乗用車7社の2025年3月期の新車1台当たりの利益では7社の平均値は約21万円となり、コロナ禍の影響から需給が改善して好調だった前期から一転して約6万円下回った。為替の円安効果が収益を押し上げたものの、原材料価格や販売コストの上昇などが悪化要因となった。
7社中で唯一、前期比プラスとなったスズキは円安効果に加え、売り上げ構成の改善が寄与。日本やパキスタン、中東などが好調で販売台数も伸ばした。
1台当たり利益が首位のトヨタ自動車は将来に向けた投資や足場固めを進めながら価格改定や販売奨励金(インセンティブ)の抑制、改善活動が奏功し高水準の利益を確保した。
SUBARU(スバル)は円安のプラス効果があったが、台数減や奨励金の増加が響いた。三菱自動車は競争激化で北米を中心に販売費が増加しインフレなども影響した。マツダは収益性の高い米国市場で販売台数を伸ばしたが、競争激化による奨励金の増加が収益を押し下げた。
ホンダは商品価値に見合う値上げに取り組むも、電気自動車(EV)拡販に伴う奨励金の増加や研究開発費の増加が響いた。日産自動車は台数減や奨励金増加が収益を圧迫し前期を大きく下回った。
今後もコスト上昇や為替変動など減少要因に加え、トランプ米政権の関税政策による収益悪化が見込まれる。関税影響の最小化とともに地道な原価低減活動が求められる。
- 2025年5月22日
-
- 2025年5月20日
-
日刊工業新聞社がまとめた工作機械主要4社の4月の工作機械受注実績は、前年同月比15・5%増の360億4600万円と11カ月連続で増加した。
輸出は同15・0%増の8カ月連続、国内は同16・9%増の9カ月連続でそれぞれ増加。設備投資を計画通り進める企業を中心に需要が堅調に推移する。米トランプ政権の関税措置で受注に大きな影響は見られないが、今後の動きが注目される。
オークマは輸出が同46・4%増と7カ月連続で増加した。中でも中国は大型機を中心に裾野が広い一般機械向けが伸び、「見積もりの件数もかなり増えている」。
牧野フライス製作所は輸出が同18・2%増と9カ月連続で増加。中国で新エネルギー車(NEV)や電子部品の金型向けが伸びた。ツガミは輸出が同9・2%減と8カ月ぶりに減少。ただ80億円超えの高水準を維持し、主力の中国市場で「自動車向けを中心に幅広い産業で堅調に推移した」。
米国ではオークマが航空宇宙やオイル・ガス、医療機器向け、牧野フライスも航空機向けを中心に受注が増加した。芝浦機械は関税政策の影響で不透明感が強まる中、「エネルギー関連や航空宇宙関連向けで立旋盤や横中ぐり盤を受注した」。
関税策の米国受注への影響についてオークマは「関税による様子見で受注を止める動きにはなっていない」、牧野フライスも「大きな動きはない。大手ユーザーを中心に設備投資を計画通り進めると考えている」と、今後の動向を注視する。
国内では芝浦機械が同18・4%増と3カ月連続で増加。金属加工や航空機関連、建機向けで大型工作機械、光通信関連向けなどで超精密加工機を受注した。オークマは同30・6%増と9カ月連続で増加。大手企業中心の設備投資の傾向は変わらないが、企業規模を問わず「半導体製造装置の一部や船舶、鉄道車両、航空機、食品機械向けなど裾野が広がっている」とした。
- 2025年5月20日
-
- 2025年5月16日
-
トヨタ自動車グループ各社がトランプ米政権の関税政策の影響を慎重に見定めている。主要部品メーカー7社の2026年3月期連結業績予想が出そろい、営業・事業利益は4社が増益、3社が減益となった。関税影響を業績に織り込まない社がある一方、アイシンなどは一定の金額を減益要因として見積もった。ただ、事業環境の不確実性が高まる中でも設備投資や研究開発投資を力強く推進し、変化に強い体質を構築する。(総合1参照)
関税の影響を見極められず、各社からは困惑の声が相次いだ。輸入車への25%の追加関税のほか5月からはエンジンなど主要部品にも関税が課される。
豊田自動織機の伊藤浩一社長は「直接・間接の影響が見通せず、今回は(予想に)織り込めていない」とした。愛知製鋼の後藤尚英社長も「基本は地産地消のため直接的影響はほとんどないが、間接的にはどうなるか、広範にわたるので難しい」とし、予想の前提に入れなかった。
一方、アイシンは各顧客への価格転嫁のタイミングなどを総合的に勘案し、営業利益段階で200億円程度を減益要因として織り込んだ。豊田合成も営業利益段階で関税の間接影響が50億円と見積もった。
アイシンの伊藤慎太郎副社長は関税の影響について「我々の自助努力や顧客にお願いする分など丁寧に確認しながら、4―6月期ぐらいに大体分かってくると思う。いったん仮置きをしたが、市場の動向を注視しながら見直しをする」と話す。同社は26年3月期を最終年度とする中期経営計画で営業利益の目標を3000億円以上としていたが、主要顧客の台数減や関税影響を背景に2050億円に見直した。
「変化の大きい時だからこそ、将来のために付加価値向上に取り組む」と語るのはデンソーの林新之助社長。同社は26年3月期、電動化や自動運転の領域を中心に3700億円の設備投資を予定する。研究開発費も6600億円を計上し、ソフトウエアや車載集積回路(SoC)などの開発に充てる。アイシンは電動化や知能化対応で、過去最高となる2500億円の研究開発費を投じる計画だ。
- 2025年5月16日
-
- 2025年5月15日
-
フジムラ製作所は、全自動曲げ加工システムなど加工設備2台を本社近隣の工場に導入し、稼働した。総投資額は約1億8000万円。量産品への対応強化とともに一層の自動化につなげる。
第一工場(同)にアマダ製の全自動曲げ加工システム「EGB―6013ARce」を導入した。小物製品の加工に最適なシステムで量産品への対応力を強める。
可搬重量10キログラムで人間の可動域に近い自由度を持つ6軸多関節ロボットと、自動で金型交換を行うツールストッカーなどを搭載。これらをコントローラーやタブレットに連携させて操作できる。
また第四工場(同)には、自動金型交換装置を備えたアマダ製小型曲げ加工機「同―6020ATCe」を導入。安全性と作業性を両立しており、現場で増加している女性オペレーターなどに配慮した設計となっている。
フジムラ製作所は、少量多品種の板金加工を得意としてきたが、近年は並行して量産品の対応を強化している。足元で半導体製造装置向け部品の需要が高まり、2025年6月期の売上高は前期比18%増の約20億円を見込む。
- 2025年5月15日
-
- 2025年5月14日
-
アイシンのハイブリッドユニットが、三菱自動車がタイで公開した小型スポーツ多目的車(SUV)「エクスフォース」のハイブリッド車(HV)モデルに採用された。アイシンにとって東南アジア諸国連合(ASEAN)地域では初の電動ユニット生産となる。
ハイブリッドユニットは駆動モーターとギアボックスで構成。走行用モーターとタイヤから発電用モーターを切り離せる「シリーズ・パラレル方式」をアイシンとしては初めて採用した。
凹凸でギアをかみ合わせる「ドグクラッチ」による切り離し機構を採用し、走行シーンに応じたモーター走行とエンジン走行の最適な切り替えが可能。高い燃費性能や駆動性能を実現する。
同ユニットはタイの連結子会社で生産する。今後も需要に応じて電動ユニットの生産体制をグローバルで構築する。
- 2025年5月14日
-
- 2025年5月13日
-
日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が発表した4月の新車販売台数は、前年同月比10・5%増の34万2876台となり4カ月連続で前年実績を上回った。中央発條の事故影響があったものの前年同月にあった認証問題による生産停止の反動増が寄与して、2ケタの伸びとなった。
メーカー別ではダイハツ工業が同2・5倍の4万1258台と伸長した。
登録車は同4・6%増の21万7064台で4カ月連続の増加。乗用車は同5・2%増の19万1066台で4カ月連続の増加だった。貨物車は同微減の2万5218台で3カ月ぶりの減少、バスは同14・4%増の780台で3カ月連続の増加だった。「中央発條の影響がにじむが、一部の車種が堅調に推移し、認証問題の反動増で増えている」(自販連)。
軽自動車は同22・4%増の12万5812台で4カ月連続で増加した。乗用車が同24・5%増の9万6038台、貨物車が同15・9%増の2万9774台でそれぞれ4カ月連続で増加した。全軽自協では「前年にダイハツが製造する車種が出荷停止となっていたことの反動が大きい」とする。背が高くスライドドアを備えたスーパーハイトワゴン系の車種が好調で、ダイハツやスズキなどが台数を伸ばした。
今後の見通しについては「前年5月は認証問題後の全車種出荷再開の時期と重なり、この4カ月間のような大きな反動増を見込むのは難しい」(全軽自協)とするものの「中央発條の生産再開に加え、新型車や車種の改良などが今後予定されており、供給が改善する」(自販連)とみられる。需要が堅調に推移する中、市場の活性化を期待している。
- 2025年5月13日
-
- 2025年5月12日
-
京セラインダストリアルツールズは、制御回路を本体から切り離して小型、軽量化した電動工具を開発した。まずはディスクグラインダー2機種を発売した後、ベルトサンダーなど3機種も月内をめどに販売開始する。エアツールに対抗できる軽さを電動工具で実現し、作業者の負担を軽減する。製缶や造船など広く金属加工現場向けに提案し、年5万台の販売を目指す。
新開発の電動工具「リンクコントロールシリーズ」は、従来は工具本体と一体化していたモーター制御回路を外付けのコントローラーとしてケーブルで接続する構造とした。コントローラーには複数工具を接続でき、工具の種類は自動認識する。
第1弾として砥石(といし)径が100ミリメートルと同180ミリメートルのディスクグラインダー2種を発売。内製するブラシレスモーターを搭載した。消費税抜きの価格は同180ミリメートルのタイプが7万1500円、4口の接続が可能なコントローラーが8万5800円。
一般に電動工具はエアツールよりも高出力だが重いため、生産ラインではエアツールが多く使われている。
新シリーズはエアツールの軽さと電動工具のパワーを両立したのが特徴。京セラインダストリアルツールズでは「モーターと制御回路はセットで考えるのが当たり前だが発想を転換した」としている。
同100ミリメートルのタイプはプレス加工後のバリ取りなど、同180ミリメートルのタイプは船舶や特殊車両車体などの重切削向け。同社によると同180ミリメートルのタイプは競合品より700グラム程度軽く、価格帯の高い200ボルトの高周波グラインダーも代替できるとしている。
そのほか月内にはベルトサンダーや、スイッチを握っている間のみ動作するパドルスイッチ式ディスクグラインダーなどの工具3種を追加投入。
- 2025年5月12日
-
- 2025年5月9日
-
山善はAI(人工知能)を活用し、製品の凹凸や湾曲面に印字された文字の認識に特化した画像検査システム「アイビージェネシステキスト」を発売した。印字ラベルの表示間違いや表示漏れなどを毎分100件照合できる。包装された製品の検査用に、食品業界を中心に販売している。
包装後の印字ラベルなどを撮影し、ラベルの数字や文字を自動で読み取る。形状や製品の傾きなどの影響を受けず、1文字単位で認識して印字不良を検知する。消費税抜きの市場想定価格は150万―200万円。アイビージェネシスシリーズ全体と周辺機器を含めて、年間売上高3億円を目指す。
同シリーズは2022年の発売以来、最新のAIシステムを導入して物体の色や個数、長さ、大きさを認識する検査システムとして改良されてきた。これらの機能に文字認識を加えた「アイビージェネシスプレミアム」も発売しており、自動車部品メーカーなどの一般製造業向けに展開する。
- 2025年5月9日
-
- 2025年5月8日
-
あおやまは、工具ホルダーの自社ブランドを立ち上げ、第1弾商品を発売した。同社は一部、機械加工メーカー向けに工具ホルダーを提供しているものの、事業の9割以上が大手工具メーカー向け。機械加工メーカー向けに拡販するため、日本産業規格(JIS)に合わせた色付きの工具ホルダーを開発し、機械商社などを通じて販売を始めた。
あおやまは旋盤に使用する工具のホルダーメーカー。自社で焼き入れから研磨までの一貫生産を行っている。
新たに立ち上げたブランドの名称は「MAGICIAN OF THE LATHE」(旋盤の魔術師)。第1弾商品の色付き工具ホルダー「カラフルバイトホルダ」は、従来ホルダーにカラーコーティングを施したもの。
工具ホルダーは通常、工作機械との親和性を重視して黒色を採用する。色彩を施すことでユーザーが工具の用途や使用頻度ごとに色を使い分けられるようになり、誤使用の低減につながるという。JISが定める切削用超硬工具の識別色に合わせてラインアップしており、ホルダー色による工具管理が容易になる。
カラフルバイトホルダは、長さ150ミリメートルのPDJN型と同100ミリメートルのSDJC型の2種類を用意。それぞれ第1弾として青、赤、緑、白、紫の5色をそろえ、4月には黄、茶色を追加する。価格はPDJN型が消費税込みで約2万円、SDJC型が同1万円程度。
カラーコーティングの皮膜は厚さ5マイクロメートル(マイクロは100万分の1)でホルダーの精度も維持でき、「現場の品質確保にも貢献できる」(青山社長)としている。
- 2025年5月8日
-
- 2025年5月7日
-
ブラザー工業は従来比3倍以上となる100本の工具が搭載できる小型マシニングセンター(MC)「スピーディオ」の新機種を開発し、春以降をめどに市場投入する。主軸30番テーパの小型MCで100本の工具を搭載できるのは珍しいという。変種変量生産や多品種小ロット生産の現場で、コンパクトな生産設備を求める需要を開拓する。
開発している「S700Xd2―100T=写真」は、スピーディオの標準モデルで最大28本の工具が搭載可能な「S700Xd2」の機械内の左右に36本ずつの工具ストッカーを載せて、100本の工具を収納可能にした。同数の工具を収納する一般的な主軸40番のMCと比べて接地面積を約40削減できるという。
また、本体に大型の傾斜ロータリーテーブルを搭載した「U500Xd2」に100本の工具を搭載可能にする機種の開発も進めており、S700Xd2―100Tと同時期に発売する考え。
MCに搭載する工具本数の増加を進めることで、大量生産から変種変量生産や多品種小ロット生産へと生産形態が移行しているモノづくり現場のニーズに応える。
- 2025年5月7日
-
- 2025年5月2日
-
ガリューは、乾いた状態でレーザー加工機用フィルターの粉塵を落とせる集塵装置を開発し、本格的にクリーニング事業を開始した。他社ではクリーニングに7―10日間を要するが、同装置では半日から1日で完了できるという。フィルター1本当たり消費税抜きで7000円から受け付ける。
空気を噴射して使用後のフィルターから粉塵を落とし、水を通して集める設計とした。ためた水の中に汚れが沈殿するため、水の後を通る集塵機にはほとんど塵がたまらない。水フィルターなしでは、すぐに目が詰まってしまいフィルター1本分ももたないが同装置では20本以上連続でクリーニングできる。
他社のクリーニングは水に漬ける方式が多く、1週間以上かかる上にカビが生える可能性がある。また10メガパスカル(メガは100万)近くの高圧洗浄機を使う場合もあるが、フィルターの目が開いて性能が悪化することがある。
ガリューは乾燥状態で作業するため、半日から1日と短期間でのクリーニングが可能。加えて、空気を振動させて0・4メガパスカル程度の空気噴射で粉塵を落とせる。ほぼ新品同様に目の詰まりを解消できるという。
- 2025年5月2日
-
- 2025年5月1日
-
日清工業は、両頭平面研削盤の主力機種を約40年ぶりに全面改良し、2025年内に受注を始める。
加工精度を担保するベッドの剛性を構造の一新などで同社従来機に比べて30%高めたほか、外観デザインを刷新した。価格は個別見積りだが、機構の見直しなどで従来機と同等に抑えた。新機種の投入で主力市場の自動車業界に続く新市場を開拓し、年30台の販売を目指す。
両頭平面研削盤は加工対象物(ワーク)の平行2面を同時に研削する機械で、日清工業はトップメーカーの一翼を担う。現行の主力機種「V―5」は基本設計をそのままに一部改良を重ね、およそ40年販売してきたベストセラー機。
ただ、主力市場の自動車業界は電動化の進展など変革期を迎え、一層の成長には新市場の開拓が急務だった。そこで主力機種の設計を一から見直し、幅広い業界のニーズを反映した。主力機種を設計から変更するのは今回が初めて。
新機種「VNX―585i」は、周辺機器のレイアウトを最適化するなどして設置面積を従来機に比べ30%削減。生産ラインに組み込みやすくした。
また、砥石(といし)の表面を修正し研削性能や精度を維持する周辺機器「ドレス装置」の動力を油圧から電動サーボモーター駆動に変更。砥石修正能力を安定化しつつ、メンテナンスの手間を大幅に軽減する。
外観のデザインも洗練されたカバーを採用するなど刷新した。特に欧州市場では機械の外観を重視する傾向があり、従来機では同市場を深耕しきれていなかった。加えて製品はオーダーメードのため、従来は納期1年ほどを要していた。新機種は仕様の統一化や組み立て工程の改善で、納期の半減につなげる。
- 2025年5月1日
-
- 2025年4月30日
-
データ・デザインは、AI(人工知能)がCAMによる加工プログラム作成の大半を自動で行うソフトウエアを発売した。英クラウドNC(ロンドン市)が開発し、データ・デザインが日本語化した。主要工程部分のプログラムをソフトが自動生成し、残りの部分をプログラマーが補完して完成度を高める。プログラム作成の大幅な短縮や省力化をする製品として注目を集めそうだ。
航空宇宙や造船、半導体、建設機械、エネルギーなどの分野の付加価値の部品加工での利用を想定する。消費税抜きの年間利用価格は、利用者3人の場合で1年目300万円、2年目以降240万円。初年度100本の販売を目指す。
新ソフト「CAMアシスト」ではCADファイルを読み込んだ後、加工方向や治具情報を設定し、工具、材料、加工機を選んで加工精度や生産性などを指定する。ソフトはその情報をクラウドNCのサーバーに送り、それで自動作成した加工プログラムを出力する。
単純な形状で幾何公差がプラスマイナス0・02ミリメートル程度の部品であれば、70―100%の範囲でプログラムの自動生成が可能。残りの高度な技術や付加価値が求められる部分をプログラマーが補完して仕上げる。
クラウドNCは英国で機械加工事業を手がけており、自らの加工ノウハウを元に新ソフトを作り上げた。
使用するAIは、大量のデータに基づくデータ駆動型と人の知能を再現する理論知識型を組み合わせたハイブリッドAIで、少ない学習データでも高度な自動化を可能にしたという。
対応のCAMソフトはシーメンスNX、Mastercam、オートデスクフュージョン。今後、対応ソフトを増やしていく予定。
- 2025年4月30日
-
- 2025年4月28日
-
MOLDINOは、車体部品をアルミニウム鋳造で一体成形する「ギガキャスト」用の金型向けに、荒加工から仕上げ加工まで対応する切削工具を相次ぎ投入する。独自の刃形や加工方法を含めた提案で、高機能材を採用した同金型の高能率加工を支援。放電加工をしていた深い溝部分の安定切削加工も実現し、生産性向上にも寄与する。自動車の電動化などに伴う生産革新に対応する。
「部品点数削減を図るための金型の大型化や深掘りなどの加工ニーズに対応できる商品になっている」。MOLDINOの金子社長は製品開発の狙いをこう強調した。
ギガキャスト用の金型は従来と比べ大型化し、広さと深さを含めた縦横に幅広い加工が求められる。素材も熱間ダイス鋼に添加するシリコンの量を減らすなどして高機能化するため、従来と比べ粘りや硬さが増し、切削加工の難易度が高まる傾向にあるという。
MOLDINOはこうした高機能素材を採用したギガキャスト用金型を、複数の工具を使い分けることで効率的に加工する課題解決策を提案する。広く深い範囲の加工では、薄く滑らかに削ることで抵抗を抑えた刃形を採用した刃先交換式の切削工具を開発した。
併せて、同工具を先端に取り付けて深部を加工するためのフリーネックタイプの超硬シャンクも開発。先端に向け傾斜を付けることで金型との干渉を防ぎ、毎分100メートルの切削速度で深さ250ミリメートルまでの溝の高速で安定した荒加工を実現した。
狭く深い「リブ溝」などの加工向けには、先端にラジアス形状の刃を設けたフリーネックタイプの細長い切削工具を20日に発売する。たわみを抑えた設計を採用するなどし、深さ120ミリメートル程度の溝の加工に対応する。
仕上げ加工では、深さ120ミリメートルの加工にも対応する切削工具を開発し、同工具を回転させながら上下に動かして加工する工法「突き加工」での活用を含めた提案を一部で始めた。
従来こうした深い溝の加工では、長い工具を回転させながら左右に動かして加工するため、金型に「段差」のような削り跡が残ることがあり、形彫り放電加工機で仕上げ加工するケースが多かった。新たな工具と工法で切削による仕上げ加工を実現し、放電加工用の型を起こすことなどを含めた手間や時間の大幅な削減に貢献する。
また突き加工は工具の切削跡「筋」が縦方向にでき、同社担当者は「鋳造した後に金型からワークを剥がしやすくする効果が期待できる」という。
自動車産業ではバッテリーを搭載する電動化の潮流で、軽量化などを狙いとする生産革新が進む。ギガキャスト以外にも複数部品を一体成形する動きがあり、金型が大型化する傾向にあるという。MOLDINOはこうした変化に対応する工具やシャンク計4製品を投入し、生産性や品質の向上といった付加価値を提案して顧客の課題解決に貢献する。
- 2025年4月28日
-
- 2025年4月25日
-
関東精機は、工作機械向け油温自動調整機「オイルマチック」に、地球温暖化係数(GWP)148の新冷媒「R―454C」搭載機種を追加し、受注を始めた。米国冷媒規制(GWP閾値〈しきいち〉700)や欧州Fガス規制(同150)などの環境規制に適合する。価格は見積もり対応。各国・地域の環境規制に応じ、ノンフロン冷媒の「GreenRシリーズ」と合わせて提案する。
三井・ケマーズ フロロプロダクツ(東京都港区)の新冷媒「オプテオンXL20」を搭載した。汎用のR―407C(GWP1770)搭載機種の構成要素を変えずに代替導入が可能。このため、ユーザーも大幅な仕様変更をせずに投資を抑えて設備更新できる。冷却能力や熱変位抑制などを検証し、微燃性であるといった特性も考慮して運用方法を提案する。
同シリーズはGWP1の「R―1234yf」「二酸化炭素(CO2)」を搭載している。環境規制適合機種を拡充し、ユーザーニーズに対応する。
- 2025年4月25日