榎本工業、高周波焼き入れ自動化 異形材も品質均一
榎本工業は、異形状の板状部品の外周への高周波焼き入れを自動化する装置を開発し、受注を始めた。従来は手作業だった多品種少量生産や異形品の高周波焼き入れを自動化し、品質を均一化できる。導入すれば高周波焼き入れのノウハウを持たない企業でも同工程を内製化できる可能性がある。消費税抜きの価格は仕様で異なり、2500万円から。当面は機能性を訴求して需要を探る。
高周波焼き入れは金属にコイルを近づけて電流で加熱し、冷却して表面を硬くする熱処理。
榎本工業が開発した「高周波焼き入れロボットCHR300」は、板カムなどを加工対象物(ワーク)として想定し、厚さに合わせたコイルを用意する。ワークが回転し、コイルが数値制御(NC)プログラムで縦・横に動いて異形状品の外周に沿う。搭載した放射温度計で表面温度データを収集し、コイルとワークの距離や送り速度、周波数などを制御する。
量産品は形状に合う専用のコイルと焼き入れ装置を用いる。一方、少量品はコストが見合わないため専用コイルを用いず、作業者が手動で汎用のコイルに近づけて焼き入れを加える。
ただ、品質が作業者の技能の影響を受ける上に、業界全体の高齢化を見据えると自動化の検討が必要だった。
今後は開発初号機を榎本工業に常設し、実際の工程での活用の検討に使用する。
装置は静岡県工業技術研究所浜松工業技術支援センター、高周波応用(浜松市中央区)と共同で開発した。