鋳鉄旋削用新材種「AC4000K」シリーズを開発、発売開始
当社は、鋳鉄旋削用の新しい工具材種「AC4000K」シリーズを開発し、2017年5月より発売します。ねずみ鋳鉄、ダクタイル鋳鉄をはじめとした鋳鉄旋削加工での安定性を向上させ、長寿命化を実現しました。
鋳鉄は、複雑形状の機械部品を比較的安価に製造でき、また添加物を加え金属組織を変化させることで、強度が増加するという特長を有した材料です。このような特長から、潤滑性、制振性が必要となるブレーキディスクなどの摺動部品*1や、強度が必要となるギアケースなどの自動車部品を中心とした複雑な形状の構造部品に適用されます。
ねずみ鋳鉄*2は衝撃強度が弱く、熱伝導率が高いことから加工性がよく、一般的に工具寿命は長いですが、近年、加工の高能率化に対する要求が高く、高速条件で加工されるケースが増えており、その切削条件で顕著に見られる逃げ面摩耗の抑制が、寿命向上に向けた課題となっています。
一方、ダクタイル鋳鉄*3は高い引張強度を有し、刃先の温度が上がりやすく切削工具の溶着が起こりやすいことから、切削工具のコーティングの剥離による寿命バラツキが課題となっています。
こうした課題に対し、当社は鋳鉄旋削用新材種「AC4000Kシリーズ」を開発しました。販売価格は当社従来品と同設定ですが、長寿命化による工具使用量と工具交換頻度の低減、高能率化による加工時間短縮が可能となり、加工コストの削減に大きく貢献します。
1. 特長
AC4010K
耐熱性に優れた厚膜CVD*4材種です。配向性制御・高強度アルミナ層と新規表面処理の適用により、欠け、チッピングを抑制しつつ、優れた耐摩耗性を示します。また、CVD膜と母材の密着力を上げたことで、耐剥離性が従来比約2倍となりました。ねずみ鋳鉄加工においてはVc=700m/minの高速加工にも対応可能です。
AC4015K
安定性に優れた汎用CVD材種です。AC4010Kと同様の新開発の高密着力技術を適用し、溶着によるコーティング剥離への耐久性を向上させました。溶着による膜剥離がおこりやすい加工において、従来のコーティング膜と比較して2倍以上の刃先安定性を実現しています。鋳鉄旋削加工の第一推奨材種です。
提供元: イゲタロイ