位置決め0.1マイクロメートル単位 計測装置
入曽精密は、マシニングセンター(MC)の切削工具において、上下方向(Z軸)の位置決めを0・1マイクロメートル(マイクロは100万分の1)単位の精度で確認できる装置を開発した。現在は2マイクロメートルが限界で、精度がその20倍に高まることにより、切削加工の速度や品質が大幅に向上するとしている。9月にも180万円(消費税抜き)程度で発売する予定。
工具先端を上方から測定端子面に押し当てると、シーソーの原理で反対側のスケールが上昇し、その変化量から検出する。シーソーの支点を非接触にすることで、わずかな圧力でも測定端子面が下がるようにし、極細の工具が接触しても折れないよう工夫した。既存のバネ式測定ではバネの力が強すぎて刃先が折れる恐れがあった。
スケールには信号波長250ナノメートルの高精度反射型レーザータイプを採用。「光シーソー方式と呼んでも良い」という新構造で、分解能は0・01マイクロメートルを実現。ただ、「0・01マイクロメートル台の数値はわずかな振動を与えるだけで動いてしまう。安定した数値を示す0・1マイクロメートル単位で精度を保証する」ことにした。
Z軸の位置精度が高まることで、既存のMCを使い医療機器、半導体などの産業が求める超微細部品の製造が可能になる。また、1回に数マイクロメートル程度の薄さで削り、仕上げていく鏡面加工では「20時間くらいかかる金型の加工を3時間程度に短縮できる。面品位も上がる」という。工具の刃先の摩耗量を0・1マイクロメートル単位で把握することも可能だ。
入曽精密によると、最も細い工具だと刃先が直径5マイクロメートル程度まで微細化が進んでいる。半面、Z軸の位置決め精度が2マイクロメートルにとどまっていることで、工具の能力が十分に発揮できていないという。今後はX軸とY軸でも同水準の精度を実現し、微細加工の範囲をさらに広げる考え。