1―6月の工作機械受注4割減 10年ぶり5000億円割れ
日本工作機械工業会が発表した2020年1―6月の工作機械受注実績は、前年同期比39・9%減の4100億2000万円だった。1―6月として5000億円を割り込むのは10年ぶり。新型コロナウイルスの感染拡大による経済の停滞や先行き不安の増大の影響などにより、国内外で需要が大きく落ち込んだ。
内需は前年同期比40・5%減の1585億3200万円で、1―6月ベースでは7年ぶりに2000億円を下回った。業種別では全11業種で減少したが、その中でも特に自動車と航空機・造船・輸送用機械の落ち込みが顕著だ。
外需は同39・5%減の2514億8800万円で、1―6月ベースでは11年ぶりの3000億円割れ。アジア、欧州、北米の主要3極すべてで減少し、それぞれリーマン・ショック後の09―10年の水準まで落ち込んだ。
6月単月の受注総額は前年同月比32・1%減の671億9000万円と、3カ月ぶりに600億円を上回った。ただ、6月としては11年ぶりに700億円を下回っており、日工会の飯村幸生会長(芝浦機械会長)は「全体的に厳しい状況は続いている」とした。
業種別では電気機械と官公需・学校を除く全業種で減少。電気機械は、パソコン用半導体需要の増加や前年同月が半導体メモリーの在庫調整期だったことの反動により、同83・2%増だった。
国・地域別では、中国が28カ月ぶりに増加に転じ、「製造業の正常化という点で、中国が一番早く戻った」(稲葉善治日工会副会長〈ファナック会長〉)形だ。欧州や米国も前年同月比はいまだ減少ながらも、前月比で見ると欧州が2カ月連続、米国が6カ月ぶりの増加となった。
前月比で見た場合の6月の受注総額は3カ月ぶりの増加に転じたものの、コロナ禍の行動制限で商談が止まっていた案件の成約が多い。そのため、飯村会長は「6月を反転のトリガーと判断するのは、まだ早い」と慎重な見方を示した。