工作機械、1―6月71%増 3年ぶり7000億円超え 外需比率最高に
工作機械業界の受注水準が好調に推移している。日本工作機械工業会(日工会)が発表した2021年1―6月期の工作機械受注実績(確報値)は、前年同期比71・2%増の7020億8700万円となった。前年同期比で6半期ぶりの増加に転じ、1―6月期としては3年ぶりに7000億円を上回った。外需が大幅に拡大したことで、外需比率は前年同期比8・6ポイント増の69・9%となり、11年ぶりに過去最高を更新した。
外需は前年同期比95・1%増の4907億6800万円で、2半期連続の増加。1―6月期として2年ぶりに4000億円を上回った。アジアは中国を中心に回復が進み、6半期ぶりの2500億円超え。欧州と北米も新型コロナウイルスのワクチン接種の進行とともに市場が回復し、主要3極すべてで増加となった。日工会の稲葉善治会長は「北米や欧州でも着実に回復が進んでおり、外需は好調が持続する」との見方を示した。
内需は同33・3%増の2113億1900万円で、5半期ぶりの増加となった。2000億円超えは1―6月期として2年ぶり。業種別では、航空・造船・輸送用機械を除く10業種が増加した。ただ、外需に比べると回復ペースは緩やかだ。今後は政府の補助金による押し上げ効果に加え、「(波及効果が大きな)自動車関連需要の先行きがカギを握る」とみられる。
旺盛な需要が続く一方、部品・部材不足の影響が出始めており、「会員企業からは、徐々に納期が延びて先々の安定的な確保を危ぶむ声も聞かれる」という。また、「製品を作り上げてもコンテナ船の確保が困難な状況にある」とし、今後の影響が懸念される。
6月単月の受注額は、前年同月比96・6%増の1320億8100万円で8カ月連続の増加となった。1300億円を上回るのは19年3月以来27カ月ぶりで、1000億円超えは5カ月連続。外需で欧米が増加したことに加え、内需も補助金効果などにより回復基調が強まった。
内需は同91・1%増の446億5600万円となった。4カ月連続の増加で、440億円超えは21カ月ぶり。幅広い業種での需要増加に加え、月内に事業再構築補助金が採択されたことも受注を押し上げた。業種別では10業種が増加。電気・精密が31カ月ぶりに60億円超えとなったほか、金型も23カ月ぶりに20億円を上回った。
外需は同99・5%増の874億2500万円で、8カ月連続の増加となった。アジアが4カ月ぶりに500億円を下回った一方、欧州と北米はともに19年3月以来の水準を回復した。中国はテレワーク関連需要が一服したことで5カ月ぶりに300億円を割り込んだがインフラや車などの業種は依然好調なことから、日工会では「しばらくは300億円前後で推移する」とみている。