アイシン精機、世界100工場をデジタル化 稼働状況確認・最適な素形材加工
(AI)を活用した生産のデジタル化に乗り出す。2023年度までに世界の主要工場で整備し、その後、全約100工場まで拡大する。アイシングループ工場間の稼働状況などを即時確認できるようにするほか、最適な素形材の加工から組み立てまでの生産を効率化し、コスト競争力や品質向上を目指す。生産のデジタル化は欧州企業などが先行しており対応を急ぐ。
生産のデジタル化では、日本から遠隔支援や常時管理できるようにして、世界で最適な生産体制を構築する。素形材の造形から熱処理、加工、組み立てまで生産ラインの工程や稼働状況を見える化するほか、AIを活用した予知保全や傾向監視なども進める。不良品を出さず、設備が常に正常に稼働できるラインを目指す。
まず21年度中に、アイシン精機と21年4月に経営統合を予定するアイシン・エィ・ダブリュ(AW)の国内計約20工場で整備する。23年度には中国や北米などグローバルに拡大する計画だ。
製品の競争力強化に向け素形材の開発にも力を入れる。アイシン精機はアルミニウムや樹脂、金属プレス部品を、アイシンAWは鍛造品を得意とする。統合後は両社の強みを生かし、幅広い素形材でリサイクルまでのライフサイクルを考えた開発で強みを発揮できるとみており、電動化など次世代製品の品質向上にもつなげる。
アイシン精機は20年1月に素形材生技部を新設したほか、アイシンAWも塑性生技部と熱処理生技部から素形材生技部に再編。生産体制を強化している。
アイシン精機の水島寿之副社長は「デジタル化は欧州や中国で進んでいる。追いついていきたい」としている。