砥石目詰まり10分の1 トクピ製作所、研削向け高圧クーラントユニット開発
トクピ製作所は、砥石(といし)の目詰まりを低減する高圧クーラントユニットを開発した。一般砥石でステンレス(SUS303)部品を研削した場合の目詰まりは社内実験値で従来比で10分の1にできた。今後、研削装置のメーカーやユーザーとの実証試験でデータ取りを進め、立方晶窒化ホウ素(CBN)砥石などでも効果を実証する計画。価格は未定。2019年度内の製品化を目指す。
2009年にマシニングセンター(MC)などの切り粉分断や工具刃先冷却効果を高める用途で発売した高圧クーラントユニットをベースに開発した。新型は切り粉よりもさらに細かい砥粒(とりゅう)が混じったクーラント液が、高圧ポンプの内径やシール部を痛めないよう新たなシステム設計とした。
トクピ製作所の高圧クーラントユニットは切削分野向けで18年に約100台を販売した。新型で研削分野へと足場を広げる。
砥石は砥粒が脱落した後の穴に切り粉やバインダー(接着剤)などが目詰まりして研削能力が低下すると、一般砥石では目立て作業(ドレッシング)が、CBN砥石ではメーカーに送り電着し直す作業がそれぞれ必要になる。新技術により、これらの手間とコストを軽減する。
新型の実証実験では、クーラント圧力が十数メガパスカルの設定で一般砥石を使いステンレス部品を研削。従来型研削で部品100個当たり1回必要だったドレッシングが、1000個に1回まで低減できることがわかった。
一般砥石からより研削効率の高いCBN砥石に切り替わりつつある、焼き入れ鋼の自動車部品などでもデータ取りを進める。研削加工現場の砥石ライフサイクルコストや、ドレッシング労力の軽減につなげる。