工作機械、10年ぶり最高更新 昨年度受注、初の1.7兆円確実
2017年度の工作機械の受注高が過去最高だった07年度実績を上回り、1兆7500億円規模に伸びそうだ。日本工作機械工業会の調べでは、18年2月までで前年度の通期実績を3000億円超上回る。3月が期中平均にとどまっても1兆7427億円に達する。ただ売上高を示す販売額は受注高ほど伸びず、07年度並みになりそう。各社が人手や調達部品などの不足により、受注製品の供給に影響が出ている様子がうかがえる。
日工会が10日に3月実績(速報値)を公表し、17年度の受注高が判明する。2月までの受注高は1兆5974億円。仮に3月が期中平均の1452億円であれば、17年度は1兆7427億円になる。
年初から為替や株価が安定感を欠くものの、3月はDMG森精機が単月の過去最高を記録するなど好環境だったとみられる。期末効果も加わり、初の1兆7000億円台はほぼ確実。従来の年度最高は07年度の1兆5939億億円だった。
一方、2月までの販売額は1兆3736億円。3月が期中平均としても1兆4985億円で、販売額は過去最高だった07年度の1兆5434億円を下回る。活況が続き、納期が伸びたことが理由と考えられる。直動案内機器など主要部品の不足は「4―9月期に解消」とみており、17年度に影響が集中しそうだ。
足元の受注環境は、期初から安定してきた為替や株価に不安定さがみられ、米中の貿易制裁など新しい不安材料が生じている。先行きが見通しにくくなってきた。
ただ、トヨタ自動車は新設計構想「TNGA」向けで「年間10ラインを20年代初めまで更新していく」(業界関係者)との業界内での指摘もあり、米国などでも自動車や航空機向けの投資は「まだまだ続くだろう」(工作機械メーカー営業)とする声がある。日工会は18年も受注高が1兆7000億円程度と高水準が継続すると予想する。