10月の工作機械受注、3カ月ぶり増 9.4%プラス
日本工作機械工業会(日工会)が発表した10月の工作機械受注実績(確報値)は、前年同月比9・4%増の1225億5000万円と、3カ月ぶりに増加した。中国やインドなどで電気・精密向けの大型受注が寄与したアジアが好調に推移し、全体を押し上げた。日工会の稲葉善治会長(ファナック会長)は「需要全体として底堅さはあるが、市場の改善が勢いよく進んでいるとはいえず、物足りない状況が続いている」と慎重に見る。
地域別の受注額は中国が同48・7%増の289億9600万円と7カ月連続で増加。業種別では一般機械向けが同63・1%増の93億円、自動車向けが同22・3%増の102億円、電気・精密向けが同2・5倍の76億円だった。4カ月ぶりに前月比も増加した。
インドは前年同月比3・3倍の97億1200万円と22カ月ぶりに過去最高を更新。ベトナムは同3・9倍の38億円と9年6カ月ぶりに30億円を超えた。アジア全体の電気・精密向けは中国、インド、ベトナムでの大型受注が寄与し、31カ月ぶりに150億円を上回った。稲葉会長は一連の大型受注について「IT関係などではないかと認識している。今後も大型案件が受注を下支えする状況が続くことを期待している」と述べた。
一方、北米は同23・0%減の212億300万円と3カ月連続で減少。米大統領選を控えた設備投資の様子見などが影響し、42カ月ぶりに220億円を下回った。欧州は同9・3%減の165億900万円と10カ月連続でマイナス。ドイツを中心に停滞感は根強いが、英国やトルコなどでまとまった受注があり、4カ月ぶりに150億円を上回った。
稲葉会長は今後について「中国では車関連で世界市場を見据えた積極的な投資の持続が予測される。産業機械や電気機器関連で意欲的な企業によるまとまった投資が見込まれる」とした。
一方、欧州は「欧州連合(EU)主要国の状況は依然として厳しく、慎重に見極める必要がある」との見方を示した。