11月の工作機械受注、2カ月連続増 3%プラス 中・米受注下支え
日本工作機械工業会(日工会)が発表した11月の工作機械受注実績(確報値)は、前年同月比3・0%増の1193億2700万円と、2カ月連続で増加した。3カ月ぶりに1200億円を割り込んだが、中国や米国の受注が全体を下支えした。日工会の稲葉善治会長(ファナック会長)は「事業全体として底堅く推移しているが、勢いよく改善が進むにはやや物足りない状況」と述べた。
地域別の受注額は、中国が同33・0%増の293億1900万円と8カ月連続で増加。業種別では自動車向けが同56・3%増の116億円と伸びた。電気自動車(EV)を中心とした中国国内での競争力強化に伴う増強や海外工場への投資などにより、稲葉会長は「車関係の設備投資は今後も続く」と見る。
米国は大統領選挙後、見送られてきた一部案件が受注につながるなど、同0・3%増の235億7700万円と4カ月ぶりに増加。欧州はドイツやイタリアで不振が続き、11カ月連続で減少した。
国内は27カ月ぶりに増加したが、前年の同時期は受注の弱含みが継続していた。稲葉会長は「増加局面にさしかかったと受け止めるには時期尚早」と述べた。
同日発表した2025年1―3月期の工作機械受注予測DI(「増加」と答えた企業の割合から「減少」と答えた企業の割合を引いた値)はマイナス8・2と、24年10―12月期から5・5ポイント悪化した。日工会では自動車業界でのEVシフトを加速する開発方針の逡巡や、トランプ米次期大統領の通商政策への懸念がDI値を下げたと見る。
25年の受注状況について稲葉会長は「今より悪くなる要因が見当たらない」と指摘。設備需要は基本的に回復方向にあり、次第に明るさを増していくと見通した。