工作機械16社減収、21社の通期見通し
工作機械主要21社の2020年3月期(2社は19年12月期)連結業績では16社が減収を予想する。米中貿易摩擦に端を発した設備投資の見送りは先進国にも拡大。先行きを見えにくくしている。
大手ではツガミ、オークマなどで2020年3月期業績が当初見通しから下振れる。米中摩擦が市況悪化の主要因で、中国市場は18年春ごろから受注が停滞し始めた。主力が中国のツガミは19年4―9月期の現地売上高が前年同期比38・1%減、営業利益が同54・7%減と低調だった。
設備投資の見送りは先進国にも広がり、オークマは3期ぶりの減収減益予想だ。「日米欧アジアすべて弱い」と、10月以降も需要低迷を予想。牧野フライス製作所の19年4―9月期営業利益は同86・9%減。アジア売上高が同21・1%減、欧州が同39・5%減と落ち込みが大きい。OKKは景気に敏感な国内中小企業向けが多く、設備投資の見送り傾向が強い。米国商社大手に現地販売体制を変えたことによる「移行期間」も影響した。
一方、東芝機械やDMG森精機などが通期を増収や増益予想とした。DMG森精機は主要市場で受注の手控えがあるが、営業利益を期初公表値から10億円増(前期比2・0%増)に上方修正。機種構成や粗利の改善、コスト削減が寄与する。東芝機械は、部品の調達難で供給が滞った前期受注の大型工作機械の売り上げ計上が進む。中堅ではエンシュウが案件ごとの原価管理を厳格化するなどで営業増益とする。
市況の反転は21年3月期に持ち越しになりそうで、おおむね来春との見方がある。DMG森精機の森雅彦社長は「あと半年は底が続き、回復が始まる」と先を読む。オークマの家城社長は「米中摩擦の行方によっては設備投資にさらに慎重になる場合もあるだろう」と警戒しつつ、「底入れは最悪20年4月以降」とみる。ほぼ自動車向けのFUJIの曽我信之会長は「年明けから良くなる」と予想する。
さらにスマートフォン(スマホ)特需は終息したとされるが、ツガミの西嶋尚生会長はスマホ大手などの「いろいろな話が飛び交うようになってきた」と詳細は伏せつつも、まとまった設備投資を予期させる話しぶり。これに関連し、来春の底打ちを見込む。