三菱マテリアル、航空・宇宙向け超硬工具を拡充
三菱マテリアルは航空・宇宙分野向けの超硬切削工具事業を拡大する。同事業を展開する加工事業カンパニー内に専門部署「航空宇宙部」を立ち上げており、航空・宇宙分野向けの切削工具開発や試作の迅速化などを本格化させる。超硬切削工具の中でも付加価値の高い同分野向けを強化し、現在、年間約50億円の売上高を、4―5年内に4倍規模に伸ばす方針。
三菱マテリアルは1990年後半に航空機向け超硬切削工具事業に参入。同業界向けに炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の穴開け工具や難削材チタン合金の荒加工工具などを中心に製品展開している。さらに事業体制を手厚くし、収益基盤の強化を進める。
このため、16年10月1日付で航空宇宙部を設立。加工事業カンパニー長(プレジデント)の直轄組織で、開発、試作、技術、マーケティングの担当社員ら50人で構成する。開発や試作の技術者は、明石製作所(兵庫県明石市)や岐阜製作所(岐阜県神戸町)など3カ所の製造拠点に置いている。
同組織を活用し、さまざまな顧客ニーズを一括で把握、迅速な試作や開発につなげる。これまで、航空・宇宙分野の切削工具にする顧客の要望を受けてから試作品開発までの工程時間が長く、迅速化が課題となっていたという。当面は新規案件の開発試作が中心になるが、大口受注を得られれば量産も検討する。
金子善昭戦略部長は「新規の部品加工や機体補修に使う工具について受注の可能性がある。これらを狙い、効果的なマーケティング活動を展開する」と話している。