1月の工作機械受注、4カ月連続プラス 4.7%増
日本工作機械工業会(日工会)が発表した1月の工作機械受注総額(確報値)は、前年同月比4・7%増の1161億4600万円と、4カ月連続で増加した。中華圏での春節(旧正月)休暇の影響など季節要因もあり、前月比は18・8%減少した。日工会の稲葉善治会長(ファナック会長)は「月々の増減をならして捉えれば、2024年後半以降の受注水準が年明け以降も持続している」との見方を示した。
地域別の受注額は、中国が前年同月比21・7%増の276億円。10カ月連続で伸びたが、4カ月ぶりに280億円を下回った。業種別では一般機械向けが同3・9%増、自動車向けが同26・1%増、電気・精密向けが同15・1%増だった。
日工会では中国政府の財政出動などにより設備投資は上向きつつあると見る。また稲葉会長は中国経済は不安定な状況だが、「力のあるところはシェアを伸ばそうと積極的に投資をしている」と話す。
インドは同98・1%増の83億円。通信機器や4輪・2輪車向けなどの好調により、過去2番目の高水準となった。ただ稲葉会長は過去数年続いた活況で設備が飽和状態に近づきつつあり、「少し踊り場にさしかかった感触を受けている」と慎重な見方も示した。
一方、欧米は期末効果が剥落。欧州はドイツを中心に景況が厳しく、同21・0%減と13カ月連続で減少した。北米は航空機関連の大口受注の剥落が響き、3カ月ぶりに250億円を下回った。米国について日工会は、トランプ政権の産業振興策によりエネルギーや航空宇宙関連で需要が伸び他分野への波及を見込むが、関税政策の動向を注視する。稲葉会長は中小規模のジョブショップなどでは金利の影響もあり長く設備投資を控えていたと捉えつつも、「新しい設備を投入する必要性への機運は高まっている」と期待を示す。
また内外需を含めた今後の受注動向については「25年1―3月期は季節要因もあり落ち着いた展開が続く」(稲葉会長)と予想する。