昨年度の輸出船受注、2年ぶりプラス 1月以降増加基調
日本船舶輸出組合(JSEA)が発表した2020年度の輸出船受注量は、前年度比5・8%増の894万7320総トンと2年ぶりに前年実績を上回った。
新型コロナウイルス感染症の拡大により商談が停滞しているものの、21年1月以降は増加基調が続いた。受注隻数は177隻で、船種別の内訳は貨物船52隻、バラ積み船95隻、油送船29隻、その他1隻だった。ただ、コロナ禍の収束が見通せず、不透明な受注環境が続きそうだ。
21年1―3月期の受注量が前年同期比77・9%増の368万7890総トンと大幅に伸びたのが寄与した。受注隻数は78隻だった。一方、需要の持ち直しではなく、一過性の回復との見方も出ている。「コロナ禍の影響とともに、(船舶の)環境規制による発注の様子見の動きも出てきている」(JSEA)という。
20年度の船主系列別の契約実績(トン数ベース)では邦船系が86・0%、欧米系1・4%、ギリシャ系4・5%、その他8・1%だった。
20年度の通関実績は235隻、1016万2013総トンだった。これにより21年3月末の輸出船手持ち工事量は前年度末比13・0%減の1512万8290総トンとなった。減少幅は縮小しているが、韓国勢や中国勢が造船市場を席巻しており、日本勢は厳しい状況だ。