ヤマザキマザック、中国生産能力2割増 設備更新前倒し
ヤマザキマザックは中国の2工場で工作機械の生産能力を、合計月産300台から2021年3月までに2割増強する。老朽化した部品加工設備の更新を前倒しして生産効率を高め、組み立て要員も数十人規模で増やす。導入設備は自社製で投資額は数億円。中国では工作機械需要が急回復し、同社の中国での10月の受注は前年同月比で2倍だった。能力増強で納期も短縮し旺盛な現地の需要を取り込む。
中国工場はマシニングセンターを生産する寧夏回族自治区銀川市の中国寧夏小巨人机床と、コンピューター数値制御(CNC)旋盤を生産する大連市の山崎馬扎克机床(遼寧)。稼働は小巨人が2000年、遼寧が13年で、特に設備が老朽化した小巨人を中心に、部品加工設備などの更新を計画的に進めていた。
両工場はここ数カ月の受注急増でフル稼働に近い。設備更新計画を前倒しで実施し、生産性を高め、一部増設もする。両工場で増員もし、工場全体の生産能力を高める。
工作機械はメーカー社員が納入先に出向き製品を据え付け、試運転と最終調整をし引き渡すのが一般的。現在は多くの工作機械メーカーが、コロナ禍で海外渡航を制限され、海外顧客への製品納入に支障が出ている。
一方、同社は中国に2工場を持ち現地スタッフも豊富。対応力の高さが業界平均以上の受注増につながったと同社は分析しており、現地の生産能力増強で差別化をさらに進める。世界の他地域では工作機械の明確な需要回復がいまだ見えない中、中国事業強化が業界での当面の課題の一つとなりそうだ。