2017年度は過去最高の4870億円に並ぶ見通し 日本機械工具工業会 新年賀詞交歓会を開催
日本機械工具工業会(会長=牛島望氏・住友電気工業専務)は、1月16日午前11時30分より東京都港区の第一ホテル東京において、平成30年新年賀詞交歓会を開催した。正・賛助会員はじめ来賓、OBなど合わせて260名が出席し盛会となった。牛島会長は挨拶で、今年度は出荷ベースで過去最高の4870億円に並ぶ勢いと現況について話し、2018年度は「5000億円を超えていきたい」と抱負を語った。また、賛助会員を含めた会員数が、統合時の122社から、現在は130社に増加したことも日下部祐次専務理事より報告された。
冒頭、挨拶に立った牛島会長は「昨年は、政治、安全保障含みでは非常に多事で慌ただしい年でしたが、経済は為替の影響もあり年間を通じてそこそこ景気が良かったということもあり、皆様も良い新年を迎えられたことと存じます。経産省を中心に行われている『コネクテッド インダストリーズ』の一端を、この工業会としてもしっかり担っていきたいと思います。足元のビジネス環境は、日工会(日本工作機械工業会)が公表した2017年(暦年)の工作機械受注額は、前年比32%増の1兆6455億円と、驚くべき過去最高の数字になっています。12月単月で見ても、1659億円、前年同月比1・5倍と非常に高い数字。ロボットも非常に好調で、(2017年生産額が)前年比約30%増の9000億円を超えたと聞いています。私どもの機械工具の実績は、最高が2007年度の4870億円(出荷ベース)。2017年度は、おそらく同程度まで行くのではないかと思います。前年比で7~8%の伸びになるのではないか。2018年度は5000億円を超えていきたい。今すべての業界で非常に人手不足の状況です。その手助けをするのがロボットですが、このロボットを作るにも工作機械や工具が必要。工作機械を作るにも工具とロボットが必要と、この3者は切っても切れないものです」と明るい見通しを語った。
さらに牛島会長は、自動車の電動化と自動運転化の影響について「今後、電動自動車は間違いなく増えてきます。単なる電気自動車(EV)が増えるというだけではなく、それ以上にプラグインハイブリッド、ハイブリッドが増える。これから2030年までにはこの傾向が間違いなく続くと思います。バッテリーが非常に重く、それ以外にも、モーター、インバーターの付属部品数が電動化によって増加。自動運転化により、さらにセンサーやカメラも増えるので、車体の重量が従来以上に増加する。従来からの部品や車体の軽量化がますます求められ、アルミ、マグネシウム、セラミックといった非鉄、非金属の材料が車に使用されるようになると思われます。それから、電動化すると、内燃機関やトランスミッションは残るが小型化します。昨年2017年の自動車生産量は世界で9700万台。これが2030年になると、諸説ありますが、1億6500万台になり70%ぐらい伸びると言われています。その何割かは内燃機関、トランスミッションがなくなるが、かなりのウエイトで残る。完全な電気自動車化になっても、変速機やモーターのケース、センサーにも半導体が多く使われる。半導体の加工には非常に微細なエンドミル加工や研削加工、穴あけ加工は必ずあり、今までなかったような用途が私どもの業界でも増えてくるかと思います。戌年の本年は、ドッグイヤーで進化が非常に早いと言われますが、このようなことが顕在化してくる年ではないかと思います。そのような意味では、今年の11月に開かれるJIMTOFにはおもしろい技術、製品が展示されるのではないかと思いますし、この業界としても、展示ができるように研鑽し切磋琢磨していきたい」と話した。
来賓を代表して、片岡隆一経済産業省製造産業局産業機械課長は「機械工具(刃物)は、我が国を支えるマザーマシーンである工作機械を支える、根幹のツール。幅広い製造業、ものづくりの礎となっています。今後は自動車のEV化、電動化という大きな変化にしっかりと対応し、飛躍のためのホップ、ステップを踏む年だと思っています。自動車に限らず、航空機、医療機器等々の産業機械などにも皆様のビジネスの幅を広げる年としていただきたい。デフレ脱却にリーチが掛かるところですが、その一方で、人手も不足しています。将来のさらなる労働力人口の減少期にあっても、皆様方のものづくりが継続できるように、IoTを活用した設備投資に対しては租税特別措置をとることにより、賃上げ・設備投資をしていただく方に減税するなどの施策を用意しています。その他各種補助金、各種施策を用意しています。未来に向けた先行投資のお手伝いをすることで、皆様のビジネスのお役に立てればと思います」と挨拶で述べた。
続いて、石川則男副会長(オーエスジー社長)の発声で乾杯。祝宴では出席者が和やかに年始の挨拶を交わして歓談する姿が見られた。
最後に、生悦住歩副会長(ダイジェット工業社長)の中締めでお開きとした。
ニュースソース:名古屋機工新聞(http://www.kikou.co.jp/)