機械工具関連上場商社 –20年4-9月決算–
機械工具上場商社9社と、製造業向けのネット通販上場企業2社の20年4‐9月期決算が出そろった(トラスコ中山、MonotaROは1‐9月期、NaITOは8月期)。コロナの影響で工場の稼働率の低下や設備投資減が響き、機械工具商社では7社が二けた以上減収となる厳しい決算となった。一方、対面せずに済むネット通販は巣ごもり需要を掴むなど堅調を維持した。通期予想では、コロナの感染再拡大の懸念は残るものの、最悪期は脱したとの意見が多く、回復基調にある。
コロナウイルスの影響が直撃した今決算。特に厳しかったのが、工作機械や切削工具だ。日本工作機械工業会(日工会)の受注は5月の512億円を底に8月まで600億円台と低迷した。受注から売上計上まで時間がかかるため、工作機械に強い商社では大きくマイナスに響いた。
山善の国内の機械事業部の売上高は270億円と前期比で40%ダウン。ユアサ商事でも、工作機械事業の売上高は407億円と33%減少した。フルサト工業の工作機械事業は42%減少し、54億円となった。
コロナで工場の稼働率が低下したことにより、切削工具の需要も大幅に減少した。日本機械工具工業会の統計によると、4‐9月期の生産は前年比で3割強ダウンし、販売も低迷した。このため、切削工具に強いNaITOの切削部門の売上高は89億円と23%減少。Cominixの切削工具事業の売上高も59億円と22%マイナスとなった。
一方、対面を主とする機械工具の販売に比べ、コロナ禍でも人と接触する必要が少ないネット通販向けは堅調を維持した。MonotaROは販売先のすそ野が広いため、単純に比較しづらいが、1‐9月期の売上高は1148億円と18・8%伸びた。ミスミグループ本社の製造業向けの流通事業「VONA事業」は、中国が堅調だったこともあり、売上は644億円の8%減にとどまった。トラスコ中山のeビジネスルートは12・3%増の286億円となったほか、ホームセンタールートが18・9%増の125億円となり、巣ごもり需要を上手くつかんだ。
機械工具上場商社にとっては、今期は厳しい結果となったが、最悪期を脱したとの見方は強い。日工会の受注額は9、10月と連続で800億円を超えた。10月以降の商社の売上増に貢献してくるはずだ。切削工具についても、機械工具工業会の数字によると、単月ベースでは7月以降の生産は回復基調にある。
コロナウイルスの「第3波」の懸念は残るが、通期売上高をユアサ商事が4500億円、フルサト工業は919億円とするなど、全社とも下期は上期を上回る数字を予想するなど、回復を見込んでいる。