工作機械21社の通期見通し、最高益続々更新 米中摩擦で受注減も
工作機械21社の2019年3月期連結業績予想(2社は18年12月期)は、2018年のリーマン・ショック以前に記録した過去最高益の更新が目立つ。
営業利益の更新は、牧野フライス製作所と和井田製作所は12年ぶり、高松機械工業は11年ぶり、ソディック(12月期)は13年ぶりだ。18年3月期は売上高の記録更新が目立ったが、先進国を中心に高付加価値機の販売が伸びたことなどで利益を押し上げた。だが好決算ラッシュの一方で、米中貿易摩擦での受注減速もみられる。
牧野フライス製作所は売上高が2期連続で過去最高になる。金型や自動車部品などを効率的に精度良く加工する5軸制御のマシニングセンター(MC)などの高付加価値機の販売が世界的に好調だった。DMG森精機は5軸機や複合機などと自動機器を合わせたシステム販売が増加し、売上高が5000億円目前だ。オークマは売上高が、過去最高の2008年3月期に迫る2000億円台に達する。
中国販売に強い各社は現地市場の減速影響が色濃い。ツガミは売上高が2年連続、営業利益が6年ぶりの最高だが、受注面では10月に現地受注が目立って減った。2019年3月期予想の上方修正が多い中で、従来予想を据え置いた。
また、小型MCのブラザー工業は変動の大きい中国でのIT向け受注が低迷した。19年3月期の工作機械の売上高見通しを前回予想比1割減の552億円に下方修正した。IT向けは苦戦が続くと予想する。
先行きについては「中国は設備投資が様子見だが、上向きの気配が出てくる」(オークマの花木義麿社長)、現地の受注落ち込みが「現状程度で済んでよかった」(ツガミの西嶋尚生会長兼社長)と前向きにみる声が多い。FUJIの曽我信之社長は「半年先も堅調に伸びていくだろう」と強気だ。
最高益を出しながらも営業利益率を課題とする企業もある。受注環境が不確かになりつつある中、市況頼みではない体制構築が問われる。