工作機械受注、26カ月ぶりプラス 11月8.6%増、850億円回復
日本工作機械工業会が発表した11月の工作機械受注実績は、前年同月比8・6%増の886億8000万円となり、2018年9月以来26カ月ぶりに増加に転じた。850億円を上回るのは11カ月ぶり。中国を中心に外需の回復傾向が続き、内需の低迷を補った。1―11月の累計額は8027億7800万円となり、年間の累計受注額見通しの8500億円超えはほぼ確実な状況。21年も外需がけん引する形での回復傾向が続きそうだ。
内需は24カ月連続で前年同月を下回り、2カ月連続の300億円割れ。新型コロナウイルスの感染再拡大の影響などにより、投資の慎重姿勢が強まっている。
業種別では、10月まで回復傾向が続いていた自動車が前月比で4カ月ぶりの減少に転じた。日工会の飯村幸生会長(芝浦機械会長)は「自動車関連メーカーで設備投資の選択に迷いが出ている」と現状を捉える。前年同月比で見ても自動車などの主要4業種はすべて減少した。
外需は前月比、前年同月比ともに2カ月ぶりの増加となり、16カ月ぶりに600億円を上回った。中国はインフラやスマートフォン、自動車など幅広い業種で受注増加が続き、20年の最高額を記録。アジア全体では20カ月ぶりの300億円超えとなった。欧州は9カ月ぶりに100億円を上回り、北米は22カ月ぶりに前年同月を上回るなど、緩やかに改善の動きが出ている。
また、日工会が公表した21年1―3月期の工作機械受注予測DI(「増加」と答えた企業の割合から「減少」と答えた企業の割合を引いた値)は、20年10―12月期から24・3ポイント改善のプラス9・5となり、10四半期ぶりのプラスに転じた。同DIは実際の需要動向と連動性が高いことから、飯村会長は「今後、さらなる受注水準の高まりが期待される」とした。