軸受3社、“我慢の時”続く 通期見通し下方修正、車・産機向け減少
米中貿易摩擦や中国の景気後退などの影響で、軸受3社は業績回復時期が見通せない状況だ。自動車、産業機械向けの販売が減少し、10月末には3社とも2020年3月期の連結業績予想を下方修正した。日本精工の野上宰門副社長は「上期のような厳しい需要環境が下期も続く」と景気回復の遅れを指摘する。各社は経済環境の変化を注視しつつ、投資抑制や新規受注増に取り組む“我慢の時”が続く。
日本精工の19年4―9月期連結決算は産機事業の売上高が前年同期比11・9%減の1196億円、自動車事業は同15・5%減の3021億円。軸受やボールネジなど産機部品はインフラ関連で堅調だが、工作機械やロボットといった生産財関連が低迷した。
下期は、産機は工作機械や半導体などの需要調整が長引き、車は中国やインドの販売低迷による世界生産台数減少の影響を織り込む。既に生産能力増強投資を凍結し、設備投資を更新や省人化に絞るなど、需要低迷への対策に乗り出した。
ジェイテクトは工作機械はじめ全事業で市況悪化の影響を受ける。19年4―9月期は日本や北米、中国で軸受販売が大幅減少。軸受事業売上高は同8・1%減の1940億円だった。「中国は日系車向けは頑張ったが中国、欧州系向けが減少した。原価改善も(減収に)追いつかなかった」。
軸受事業の通期収益予想は公表していないが、売上高、利益とも微減の見通し。下期はインドや中国で車向け新規受注分の納入が始まるが、北米の価格競争激化などが下期も続くと予想。生産性改善に向け車の駆動系軸受の米国2工場を21年3月期までに1工場に集約する。
NTNの19年4―9月期は車や建設機械、工作機械向けが減少し、車と産機の両事業で営業損益が赤字だった。車向けは米州でスポーツ多目的車(SUV)用部品など新規受注があり、通期で黒字転換する見通しだが、産機向けは難しい状況。21年3月期についても「外部環境は難しい」と危機感を募らせている。