インターモールド(金型加工技術展・金型展)が開幕
工作機械メーカーが金型加工の根強い需要を取り込もうと攻勢に出ている。金型メーカーの海外移転に歯止めがかかり、国内回帰が進む中、高品質な加工が実現できると提案する。高速・高精度な新機種投入や、積層造形による金型の補修提案、自動車の電動化を見据えた製品開発を進める。金型関連の展示会に“復帰”するメーカーも出てきた。(名古屋・戸村智幸、大阪・錦織承平、同・林武志)
18日にインテックス大阪(大阪市住之江区)で開幕した「インターモールド2018(第29回金型加工技術展)/金型展2018」(日本金型工業会主催)に、大手2社が帰ってきた。
11年ぶりに出展したヤマザキマザックは、金型加工に用途を絞った5軸マシニングセンター(MC)「UD―400/5X」の開発が復帰の決め手。速度と品質という金型加工で相反するテーマを両立させたのが特徴だ。中西正純常務執行役員営業本部本部長は「微細加工に適しており、金型メーカーの力になれる」と自信を見せる。
5年ぶりとなるDMG森精機は、5軸加工機と積層造形機を出展。粉末焼結積層造形(SLM)方式の金属積層造形機「LASERTEC30 SLM」は、複雑な形状も素早く積層造形できる。「切削加工と積層造形それぞれの良さを提案する」(担当者)。
オークマは金型の補修需要を取り込もうと、金属積層造形機能を搭載した複合加工機「MU―8000V LASER EX」を加工実演した。担当者は「補修技術を持つベテランが少なくなっており、ニーズは大きい」と意気込む。
ソディックは金属粉末にレーザーを照射して溶融凝固する金属3D造形と切削加工を1台で行える「OPMシリーズ」を金型メーカーに提案した。
自動車の電動化への対応も目立った。牧野フライス製作所はピッチや真円度の精度を大幅に高めた新開発のワイヤ放電加工機を公開した。「ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)需要の盛り上がりを背景に、モーターコア加工で車メーカーの精度要求が高まっている」(担当者)ため、順送プレス金型などの高精度化を訴求する。
三菱電機はワイヤ放電加工機に同社のロボットを組み合わせた。金型にも使えるようにワーク(加工対象物)の可搬重量は70キログラムまで対応。氷見徳昭執行役員産業メカトロニクス事業部長は「産業機械や自動車関連などのモーターのコア部分の高精度な形状加工にも対応する」と話す。
IoT(モノのインターネット)対応や高速加工を訴えた企業も。OKKはパソコン上で稼働状態を監視できる同社のソフトウエアと、5軸制御立型MC「VC―X350」を連動させ、生産性向上を提案した。「手軽に導入できるIoTとしてもらえるようにしたい」(担当者)。
アマダマシンツール(神奈川県伊勢原市)は新しい超硬ブレードを採用したハイパーソーを出品。直径200ミリメートルのアルミ合金の切断時間は従来の5ー10分程度から14秒と大幅短縮を実現する。