ヤマザキマザック、“悲願の博物館”来秋開館 世界の工作機械集合
ヤマザキマザックは、世界中で活躍した工作機械を動態展示する施設「ヤマザキマザック工作機械博物館(仮称)」を、2019年秋に岐阜県美濃加茂市内に開館すると発表した。
国内外で収集した19世紀以降の工作機械を実際に動かすほか、蒸気機関車や航空機などを展示し、モノづくりを支える工作機械の重要性を伝える。山崎照幸氏が生前に進めていた構想を、創業100周年の記念事業の一環として具現化する。
照幸氏は生前、「私の最後の仕事。モノづくりの楽しさ、大切さを後世に伝えたい」と開館に意欲を見せ、各地の工作機械を収集していた。山崎智久社長は同日、「先代の遺志を継ぎ、実現したいと今日まできた」と思いを述べた。
博物館が開館する19年は同社が創業100周年を迎える節目の年でもある。「来年で創業100周年を迎える。博物館を通じて、社会貢献につなげたい」と力を込めた。
レーザー加工機を生産するオプトニクス地下工場を博物館に改装する。地表から約11メートルの深さに、延べ床面積約1万平方メートルの展示フロアを設ける。収蔵品数は約600点。投資額は約15億円。入場料は今後決める。
米国製の足踏み式旋盤、英国製のネジ切り旋盤など往年の機種を展示し、一部は実際に稼働させる。T型フォードなどの工業製品も並べ、工作機械がそれらの生産に欠かせないと理解してもらう。工作機械の生産方式の紹介のため、部品の自動加工ラインも設ける。美濃加茂第一製作所の精密部品加工の一部を移管し、IoT(モノのインターネット)を活用したラインを見学できる。
レーザー加工機の生産は美濃加茂第一製作所に移管する。同製品の主流が二酸化炭素(Co2)式からファイバー式に移り、クリーンな地下工場の必然性が薄れていた。同製品の受注が増えており、地下工場では生産能力の拡大が難しい課題を解決できる。