欧エアバスと米ボーイング、アジア市場攻略へ
欧エアバスの最新ワイドボディー機「A330neo」から顧客を奪う米ボーイングの取り組みは、米国からインドへと場所が移っている。インドはA330neoの販売をアジアに広げる上でエアバスが極めて重要とみている市場だ。
事情に詳しい複数の関係者によると、シンガポール航空系のインド航空会社ビスタラはA330neoではなく、ボーイングの中大型機「787」購入を決め、エアバスにとって新たな打撃になった。これより前、アメリカン航空グループとハワイアン・ホールディングスがエアバス機の発注を取りやめ、787を選んでいた。
ボーイングは積極的な価格設定とトランプ米大統領の減税を武器に販売攻勢を仕掛けており、すでに結果を出しつつある。エアバスは今年4月、予想を下回る販売が一因でさらに新しいモデルへの移行に伴い、A330ファミリーの生産を縮小すると発表。2017年は67機を納入したが、来年からは年50機の引き渡しにとどまる見通し。
エアバスのエリック・シュルツ最高営業責任者はシドニーでの3日のインタビューで、「ボーイングは我々をのんびりさせてはくれない」とした上で、エアバス側もボーイングに余裕を与えるつもりはないと言明した。
ボーイングの販売責任者を務めるランディー・ティンゼス氏は3日、シドニーでインタビューに応じ、「エアバスを見るとA330neoファミリーは振るわない状況だ」と分析。税制改革でボーイングに機会が到来しており、税金面でライバルメーカーと肩を並べると説明した。