エアバスとボーイング、小型ジェット機市場で覇権争い激化
航空機業界で最大級の見本市である英ファンボロー国際航空ショーでの相次ぐ受注発表を手掛かりにすれば、大手航空機メーカー、欧州エアバスと米ボーイングの小型ジェット機市場における覇権争いは既に激化しているようだ。
ボーイングと38億ドル(約4300億円)規模の合弁会社設立で合意しているブラジル航空機メーカー、エンブラエルは、オプションを含めて300機の受注・契約コミットメントを獲得し、5年ぶりの好受注となった。総額は慣例の割引を行う前で153億ドル。
一方、エアバスはカナダのボンバルディアのCシリーズを改称した「A220」について、新たな米航空会社を設立する投資家から60機の契約コミットメントを獲得。エアバスは7月10日にはジェットブルー・エアウェイズから60機を受注しており、受注額合計は約108億ドルに上る。エアバスのトム・エンダース最高経営責任者(CEO)は18日の会見で、「ボンバルディアは10年で400機余りを販売した。われわれは約1週間で120機を販売した」と述べた。
こうした受注競争は、世界の二大航空機メーカーが座席数150席未満の小型ジェット機市場で今後繰り広げる覇権争いの前哨戦と言える。同市場は過去20年、航空会社がこれまでより大きな単通路型航空機を求める動きから存在感が薄れていたものの、エアバスとボーイングはここにきて、サプライヤーにコスト抑制を働き掛けており、それに成功すれば価格が低下し、販売が加速する状況が見込まれる。
ボーイングとエンブラエルは10月後半まで、合弁会社設立の最終合意を見込んでおらず、手続き完了も来年末まで見込まれていない。また、監督当局の承認を得られるまでは両社の営業チームは共同での航空機販売を行うことができないが、ボーイングは既にチャンスを見いだしている。ボーイングのグレッグ・スミス最高財務責任者(CFO)はインタビューで、「相互の部品表を取り出して比較すると商機はある。市場でわれわれがこれらの航空機を販売するのに役に立つことは明らかだ」と語った。