昨年度の工作機械受注、38%増1兆7803億円 内外で設備投資好調
日本工作機械工業会(日工会)が24日まとめた2017年度の工作機械の受注高は、前年度比38.1%増の1兆7803億3900万円となり、07年度を抜いて過去最高になった。1兆7000億円超えは年度、暦年で過去にない。期を通じて国内外で設備投資が進み、1兆8000億円に迫る空前の活況だった。ただ、販売額は07年度水準にとどまり、部品・人手不足に直面し、供給面で課題を残した。
「3月の数字を見て、正直驚いた」。飯村幸生日工会会長は、同日日工会が年度実績とともに発表した3月単月の受注高を振り返った。3月は前年同月比28.1%増の1828億6000万円にのぼり、単月の最高額を更新。内需はバブル景気後期の91年9月以来、26年6カ月ぶりに700億円の大台にのった。3月実績がだめ押しとなり、日本の工作機械市場初めて1兆8000億円に迫る1年となった。
3月は自動車、半導体向けの工作機械が際立ってよく、ボリュームの大きい一般機械も奮った。日本、米国、欧州、中国と主要全地域で旺盛な設備投資意欲がみられた。こうした需要動向が、17年度は1年間続いた。
受注高は07年度に比べ約2000億円上回るが、販売額は約300億円上回る程度だ。主要部品が需要過多で調達難となり、工作機械の納期が通常より遅れていることが大きい。ただ、年度受注に影響を残した部品不足は、ここにきて「徐々に改善している」。
飯村会長は「よほどの政治的、地政学的問題が生じなければ、大きく落ち込むことはなさそうだ」と先行きを分析する。それでも納期が長引いたことで早めに発注する傾向を否定できず、受注実績が実需と乖離している懸念が広がりつつある。