ノンステップで小径深穴 西研、ゴールとドリル開発
西研は、ゴールと共同で、小径深穴の加工が可能なドリルを開発した。直径の15倍以上の深穴の加工が、突きと引きを繰り返すステップ加工なしで可能になり高効率。西研が個別受注品の形で2020年内に販売を始める。
開発したドリルは超硬合金の無垢材 ソリッド製の1枚刃で、刃のねじれの向きと逆向きにねじれた溝が切ってある。この溝により、ドリルの回転に伴って、切りくずの排出と加工油の給油を同時に行える。両社共同で特許を取得した。
直径2・5ミリ―9ミリメートルのラインアップ。機械構造用炭素鋼のS45Cで直径の20倍、ステンレスで直径の10倍の深さの穴がノンステップで加工できるという。標準品を在庫するのではなく、顧客の要望を聞いてコーティング材と併せてオーダーメードで提供する。
最近のドリルでは、内部に給油穴を備えたタイプが多い。小径になると切りくずが穴に詰まりやすくなる上、給油の際に高圧をかけるポンプが必要になり設備コストがかかる。このドリルは外部給油のためポンプが不要。
またステップ加工でドリルを引くのと同時に切りくずを排出する場合が多いが、開発品はノンステップ加工のため、加工効率は単純に2倍に高まる。
西研は特殊仕様の切削工具の開発製造と、工具の再研磨が主力。ゴールは主要顧客で、ともに新しい工具の開発と工程改善に取り組んできた。