コロナ影響拡大 無担保融資や助成金など
新型コロナウイルスの感染拡大が、製造業に大きな影響を及ぼしている。受注の延期やキャンセル、営業活動の自粛などによって、売上が減少し、厳しい経営状況に置かれる企業が増えている。政府は、無利子・無担保での融資制度や、雇用調整助成金の要件緩和などの支援を始めている。今後も新型コロナウイルスの影響を受ける企業を支えるための様々な支援策が打ち出される可能性もあり、常に最新の情報をチェックしておきたい。
「目標としていた売上に比べ、受注が50%以上減っている」。あるプレス金型メーカーは、新型コロナウイルスの影響で、受注が大幅に減少しているという。また、別のメーカーでは、「取引先担当者の外出禁止や取引先への訪問禁止で、検収があがらず、売上にならない」と厳しい状況を訴える。
トヨタ自動車やホンダなど大手自動車メーカーでは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で世界的に新車需要が減少していることから、工場の操業を相次いで停止している。自動車産業に関連する国内企業は多く、今後さらに影響が拡大するという見方も少なくない。
こうした中、政府では、新型コロナウイルスの影響を受ける企業を支えるために、経営相談窓口を設置し経営相談を受け付けるほか、様々な支援策を用意して対応している。
その一つが、「資金繰り支援」。日本政策金融金庫などの政府系金融機関では、実質的に無利子・無担保で融資が受けられる制度を設けた。
売上高が5%以上減少した中小企業などを対象に、金利を一律0・9%に引き下げ、今後3年間は0%台の金利で融資を受けることが可能。さらに、売上高が10~20%減少するなど、より厳しい経営状況の企業に対しては、利子を国が補てんし、実質的に無利子で借りることができる。
また、中小企業が金融機関から借り入れしやすくなるように、売上高の減少幅に応じて借入金の80~100%を保証する制度「セーフティネット保証」も実施。「4号」、「5号」の2種類で、「4号」では、売上高が20%以上減少した企業などを対象に通常とは別枠で2・8億円を上限に借入金を100%保証し、「5号」では、売上高が5%以上減少した企業などを対象に借入金を80%保証する。
加えて、「危機関連保証」という制度では、「セーフティネット保証」とはさらに別枠で、売上高が15%減少した中小企業に対して、2・8億円を上限に借入金を100%保証する。
資金繰りのほか、雇用も支援する。中でも休業手当などを助成する「雇用調整助成金」は特例措置を拡大。現行の助成率は、中小企業が3分の2、大企業が2分の1だが、中小企業は5分の4、大企業は3分の2まで引き上げた。また、計画届の事後提出も4月1日から6月30日まで認めるなど要件を緩和した。
そのほか、設備投資や販路開拓を支援する2019年度補正予算事業では、影響を受けた企業への特例措置を認め、優先的に採択したり、申請要件を緩和したりすることで対応する。一次申請は3月末で締め切ったが、今後も申請受付を継続する予定だ。
国内の感染者は2122人(4月1日時点)にのぼり、予断を許さない状況は続く。3月30日には、自民党がGDP10%超となる60兆円の経済対策や、リーマンショックと同等の40兆円の資金繰り対策の提言を求めるなど、支援策拡充の可能性は高い。難局を乗り切るためにも常に最新の情報をチェックしておきたい。
ニュースソース:日本産機新聞(https://nihonsanki-shimbun.com/)