機械・工具商社の通期見通し、全社未定 省人化需要に活路
機械・工具商社各社は2021年3月期の利益確保に向け、新型コロナウイルス感染症収束後の自動・省人化需要の取り込みに動く。主要9社の21年3月期連結業績予想は、新型コロナの影響で全社が未定。工作機械の販売で米中貿易摩擦による中国市場の減速などの影響を受けていたが、企業の設備投資への不透明感や商社の根幹となる営業活動制限も打撃となる。経済活動の再開を踏まえた動きで打開策を探る考えだ。
新型コロナ感染拡大をめぐり、社会では対人距離を保つ「ソーシャルディスタンス」が浸透した。
これに伴い「工場や生産現場でも距離を保つため協働ロボットの需要増など当社として提案できるソリューションや商材が出る可能性がある。収束後のニーズは高まると感じている」と商機が広がる一方で、好転の時期については「不透明」と、かじ取りが難しい局面だ。
20年12月に予定されていた「第30回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2020)」が中止となったが、フルサト工業は「マイナス影響は大きいが、中長期的には特に中小企業で生産の機械化は不可避。コロナ禍後は受注も戻るのではないか」と期待する向きもある。
各社は営業改革も急ぐ。山善は一部商品で動画提案を積極化。フルサト工業も「リモート営業の動きは一層拍車がかかる」とみる。
20年3月期連結決算は全社が減収減益。ユアサ商事は住設・管材・空調部門は好調だったが、工業機械部門で年明けから新型コロナの影響を受け「厳しい受注環境だった」。3期ぶり減収減益の山善は工作機械など生産財関連事業の売上高が前期比15・0%減。日伝は7期ぶりの減収減益となった。