機械・工具商社、通期増益基調 自動化提案巻き返し
機械・工具商社各社の2022年3月期は、工場の自動化や省人化の提案などで巻き返しを狙う1年となりそうだ。主要9社の22年3月期連結業績予想は、おおむね増収・営業増益基調。新型コロナウイルス感染症拡大による事業活動の制限を受け、全社が減収・営業減益となった前期から好転する。ただ、新型コロナの感染再拡大に加え、輸出入用のコンテナ不足といった課題も浮上しており、事業環境の不透明感は拭えていない。
22年3月期はユアサ商事や椿本興業、鳥羽洋行など5社が営業増益を見込む。「収益認識に関する会計基準」などの適用により、前期比増減率を開示していない杉本商事も実質的に営業増益の予想だ。フルサト工業は21年10月に予定するマルカとの経営統合などを踏まえ、見通しの公表を見送った。
山善は22年3月期の営業利益を115億円と予想する。20年秋以降、自動化設備などの出荷が緩やかに回復。コロナ禍を脱した中国などで生産財関連の受注も増加している。一方で、状況を予測しづらい新型コロナの感染再拡大を懸念する。
椿本興業は22年3月期の営業利益で前期比6・6%増の35億円を見込む。国内で伸びる半導体製造装置や自動車関連の部品の取り扱いを「今期の伸びしろ」(纐纈〈こうけつ〉准志常務執行役員)と位置付けた。日伝は22年3月期からの新3カ年中期経営計画で、最終年度となる24年3月期の営業利益を60億円にする目標を掲げた。
受注が回復基調にある一方、新たな課題も生じている。コンテナ不足が工作機械輸出に影響。ユアサ商事の田村博之社長は「モノはあるが、動かせない状況」と指摘し、輸送費上昇がコストを圧迫することを不安視する。