オークマ、加工テストもオンライン 技術打ち合わせ効率化
工作機械業界ではコロナ禍により、顧客を自社に招く加工テストや出荷前の顧客による最終確認(立ち会い)でオンライン化が当たり前になった。オークマも当所の手探り状態から進化。技術打ち合わせの効率化などにつなげている。
コロナ禍当所、顧客との遠隔でのやりとりは基本的なことから苦戦した。「機械をどう見せるか、カメラのアングルさえ皆で検討した」と吉村知泰日本・アジア営業本部営業部長は苦笑する。リアルでの対応以上に準備が大変だった。
しかし現在、違和感は減ったという。「リアルとはやり方を変えるべきだと気付いた」と吉村部長。顧客の注目点を事前に聞き、詳しい資料を用意。加工テストや立ち会いでも重点的に見てもらう。
道具選びも工夫した。最初はスマートフォンを使ったが、付属の会話用アプリは顧客が確認したい切削音をノイズとして除去してしまう。カメラも切削面の撮影には不十分だった。
そこで、音と映像で機械と加工状況を正確に伝えるため高性能のマイクやミキサー、高解像度で接写できるカメラなどを購入。担当者用のマイクやイヤホンも別に用意し、ワイヤレスで扱えるよう組み合わせた。「2020年12月に米国で大型商談があり、本気で道具をそろえた。それが顧客に好評で、全社に広めた」と前川久好同営業本部マーケティング室長は振り返る。
前川室長はオンライン化により「目的が明確になった」と評価する。技術担当者と顧客の打ち合わせも今はオンライン化し出張が不要になった。「1日で、出張なら1件だった技術打ち合わせが3、4件可能」と吉村部長も効率化を強調する。
今後の課題は、コロナ禍でどう未知の顧客と出会うかだ。オンラインの自社展示会に手応えを感じつつ「不特定多数のユーザーと出会えるリアル展がない不利益は大きい」と前川室長。オンライン活用の試行錯誤は今後も続きそうだ。