京セラ、欧米工具増強 空圧、オハイオに世界本社
京セラは欧米の工具事業を強化する。欧米向けを中心に建設用空圧工具を手がける米国子会社、京セラセンコインダストリアルツールズ(オハイオ州シンシナティ市)の本社を移転拡張し、同市内に賃貸する管理、営業部門を既存工場に集約、グローバル本社を新設する。開発、生産、販売の一体運営で業務効率を追求。オープンイノベーション施設も整備し、製品拡販や新製品開発につなげる。2022年夏の完成を目指す。
京セラセンコインダストリアルツールズ米国工場の約4万6000平方メートルの敷地に、約3000平方メートルの建屋を増築する。加えて既存工場内の約750平方メートル部分を改装する。
オフィス拡張やカフェテリアの新設で福利厚生面を強化。新設のオープンイノベーション施設では、顧客や外部との交流などを通じて新製品の創出につなげる。社員研修施設も完備する計画だ。
完成後は役員のほか間接部門、営業社員の約50人が移る。同社は米国、欧州拠点を中心に約600人を抱えており、新グローバル本社では米国事業に携わる約300人が勤務予定。一連の投資額は明らかにしていない。
同社は1948年に米国で設立。建設用のクギ打ち機やステープラーなどの空圧工具と、その消耗品を手がける。17年に京セラが買収した。
20年度は一時的に新型コロナウイルス感染症の影響を受けたが、現在は業績が回復。注力する欧米向けの同工具需要は伸びているという。京セラは、22年3月期に空圧工具を含む機械工具事業全体の売上高で前期比8・3%増の2090億円を見込む