車部品各社、対応に腐心 「生産変動」備え厚く
自動車部品メーカーが完成車の生産計画変動への備えを厚くしている。河西工業は内装部品の一部生産工程を先進国から賃金の安い新興国に移管。生産コストを削減し、車の減産などで売上高が下振れても利益を出せる体制を築く。ヨロズは工場稼働日に部品を集中生産して非稼働日を設け、急な車の減産に伴う生産要員の調整を減らす。半導体など部品の調達難は2022年以降も続く見通しで、部品各社は対応に腐心する。
河西工業は車のドアの内装の革張りような労働集約的な工程を新興国に移す。先進国では従来通り最終的な組み立て工程などを担う。従来、完成車メーカーの工場近くで部品を生産し納めることを基本方針としていたが、一部工程移管で品質を担保しながら物流費を含めた生産コストの削減が可能と試算する。
先進国では移管で生まれた余剰スペースを生かして拠点の統廃合を推進。移管先では関連部材を現地調達に切り替え材料費も減らす。米国や日本、英国、ドイツから、それぞれメキシコ、東南アジア、モロッコへの移管を想定。24年度まで3年間の中期経営計画に盛り込む方針で、車各社と調整しながら移管する工程やコスト削減効果などを詰める。
ヨロズは車の生産変動に併せた柔軟な生産体制を導入。車メーカーへの部品の納入が毎日あっても、例えば1週間のうち3日間に生産を集中し、残り2日間は休業して「光熱費や労務費などのコストを徹底的に抑えている」(平中勉社長)。
曙ブレーキ工業は車の生産挽回に対応するため、本社の間接部門の人員を工場に送る対策に乗り出している。車メーカーから翌月の挽回計画が変更されることもあり、採用単価も上がる中で「派遣労働者の新規採用などを慎重に見極めている」(同社幹部)という。