ユアサ商事、半額の微細気泡発生器 切削液の劣化防止
ユアサ商事は水溶性クーラント装置向けマイクロファインバブル(MFB)発生器の低価格タイプを発売した。従来式と比べてMFBの発生機構をシンプルにし、価格を約半分の50万円程度に抑えた。液中のバクテリアを微細な泡で取り除き、クーラント液の長寿命化が見込めるほか、加工効率の向上なども期待できる。年間500台の販売を見込む。
発売したMFB発生器「バブパワー」は、MFB発生機構の内部を切削液が一定の水圧で通過する際に旋回流を起こし、液中に含まれる約2%の酸素を微細バブル化する「キャビテーション方式」を採用した。外気を使わずにMFBを生成し、液の酸化を防げる。
MFBが消滅する際に発生する活性酸素の消毒機能により、クーラント液の劣化を抑えられる。クーラント液1cc中に平均直径100ナノメートル(ナノは10億分の1)のMFBを約1億4000万個含む。部品の加工や洗浄の際、隙間に泡が入ることで接触面の抵抗が減るため、工具の長寿命化や切削速度の向上といった効果も期待できる。
クーラント装置向けMFB発生器は現在、多数枚のブレードに高圧水流をたたきつける「フリップフロップ方式」が採用されているが、ブレードの形状が複雑で高い製造技術が求められる。今回のキャビテーション方式は発生機構がシンプルなため、フリップフロップ方式に比べて装置価格を約半分に抑えられた。
工業分野でのMFBの応用は始まったばかりで、クーラント装置向けの発生器も普及途上にあるのが現状。価格を抑えて導入障壁を低くすることで、利用を促進する。