日本精工、ロボ向け軸受・減速機 柱に
日本精工は産業用ロボットの関節部のサーボモーター向け軸受、工作機械の直線運動を実現するボールネジなど自動化設備の中核部品を手がける。直近では、摩擦や潤滑の科学技術「トライボロジー」などを駆使し、協働ロボットやサービスロボット向けのユニット製品も開発する。中核部品の強化と新領域向け製品の両輪で自動化を力強く支える。
産業用ロボット向け減速機に搭載する軸受では、高剛性で薄肉が特徴の「アンギュラ玉軸受」を供給する。ロボットの重量を受けながらスムーズな旋回・駆動を実現する。ロボットに不可欠なサーボモーター用の軸受も外部の粉じんを防ぐシール構造を持つ高機能な製品が強みだ。
同社が約2年前に量産を開始したのは小型産業用ロボットや協働ロボット向けの波動歯車減速機用軸受。同減速機は内輪が楕円形で歯車のかみ合わせが少しずつ移動。これにより小さい力を大きな力に変換できる。「産業用ロボット向け減速機の需要は中国メーカーなどで活発化している」と話すのは産業機械事業本部副本部長の早田龍史執行役常務。「自動車業界の投資も変化しており、電気自動車(EV)対応のため小型ロボットも求められている」と続ける。市場ニーズをいち早く捉え製品を供給できており、同事業本部プレシジョン本部長の菊池健次郎執行役員は「ロボット市場は3-4年で1・5倍に拡大したが、当社は市場を上回る成長を実現している」と語る。
既存製品を基盤に協働ロボットやサービスロボットなど新たな領域も開拓する。全方向への滑らかな移動を実現する車輪ユニット「アクティブキャスタ」やトルク検出誤差を低減し安全機能の強化につながる「協働ロボット用アクチュエータ」開発。拡大する市場で確固たる地位を獲得するため、さまざまな手を打っている。