工作機械メーカー、需要好調持続 自動化・脱炭素追い風
工作機械メーカーの2022年度は、国や業種によってまだら模様ながらも底堅い需要に支えられ、おおむね好業績を維持しそうだ。売上高予想を開示している主要19社の総額は前年度比13・1%増の1兆4841億円となる見通し。営業損益も開示企業15社のうち13社が増益または黒字転換を見込む。ただ、部品不足や原材料高、中国経済の先行きなどの不透明要素も多く、収益の伸びを微増にとどめる企業も目立つ。部品調達や収益管理の巧拙が一層問われる局面を迎えている。
前年度末までの受注残が豊富に積み上がっていることに加え、製造業の自動化・省人化や電気自動車(EV)化の加速、脱炭素対応に関する機械設備需要も引き続き活況が見込まれる。
ツガミは売上高、営業利益、当期利益で2期連続の過去最高更新を予想する。牧野フライス製作所やシチズン時計も売上高が過去最高を見込む。最大市場の中国は需要減速が懸念されるが、牧野フライス製作所の永野敏之専務は「今のところ底堅い需要が当面続く」とみる。
オークマは売上高が2100億円と、過去最高だった08年3月期の2138億円に近い水準を予想し、「過去最高(になること)を視野に入れる」(家城淳社長)と強気の姿勢を見せる。
DMG森精機は、1―3月期の好調な受注実績などを反映し、22年12月期業績予想を上方修正した。受注は全地域で堅調に推移しており、特に米州市場は「宇宙関係やEV、エネルギー、医療関連などが非常に強く回復している」(森雅彦社長)と捉える。
旺盛な需要を背景に工場の稼働率が高まることで生産性の改善も進む。芝浦機械や滝沢鉄工所が営業利益で大幅増益を見込む。
一方で小幅増にとどまる予想も目につく。シチズン時計の古川敏之常務は、部材調達難の影響でリードタイムが長期化していることに加え、「輸送コストも増加している」と指摘する。
収益確保に向けて、生産効率化や原価低減の取り組みが重要となる。一方、高松機械工業の高松宗一郎社長は、原材料の高騰に対して「製品価格への転嫁も検討する」と値上げを示唆する。