4月の工作機械受注、8.9%減 16カ月連続マイナス
日本工作機械工業会(日工会)が発表した4月の工作機械受注実績(確報値)は、前年同月比8・9%減の1209億200万円と、16カ月連続で減少した。一方、外需の約3割を占める中国が自動車関連のまとまった受注もあり16カ月ぶりに増加した。地域や業界などで受注はまだら模様だが、稲葉善治日工会会長(ファナック会長)は「現在は調整局面から回復局面に向かう転換期にさしかかっている可能性がある」との見方を示した。
地域別の受注額は、中国が同2・6%増の265億6000万円。前月比は4・7%増と3カ月連続で増加し、2カ月連続で250億円を上回った。業種別では電気自動車(EV)関連の設備投資があった自動車向けが前年同月比1・0%増の91億円、電気・精密向けが同21・1%増の56億円だった。稲葉会長は「中国政府の景気刺激策の効果が出始めている感触を得ている」とした上で、「しばらく工作機械は活発になる見通しで、必ずしも一過性とは言えない」との考えを述べた。
一方、外需の約2割を占める米国は同23・4%減の188億9900万円。3カ月ぶりに減少し、9カ月ぶりに200億円を割り込んだ。メキシコなどを含む北米全体を業種別で見ると、航空・造船・輸送用機械向けが同94・5%減の3億円と大幅に減少。一部案件のキャンセルの影響で、14年5カ月ぶりに5億円割れとなった。
内需は同12・8%減の363億7200万円と、20カ月連続で減少した。精密機械向けが同44・2%増の22億円だった。稲葉会長は「半導体製造装置関連で先行的な投資が続いている」とした。
今後、受注が回復に向かう要因として稲葉会長は「日本を含む世界で半導体関係の投資への期待が大きい」と指摘。EV向けの投資についても中国、米国、メキシコなどで動き出しているとし「半導体と自動車関連がこれからしばらくけん引力になっていくことを期待したい」と述べた。