日光金属、車部品製造用熱処理治具開発 耐久性5倍
日光金属は、耐熱鋳鋼と炭素複合材料を組み合わせた自動車部品向け熱処理治具を開発した。従来の鋳鋼製の治具に比べて4―5倍の長寿命化を見込め、約70%軽量化できる。価格は60万円前後で、同社の鋳鋼製治具の2倍を想定するが長寿命化などの利点を訴求する。
自動車関連メーカーなどに提案し、3年間で30社への販売を目指す。
新しい治具は熱の影響を受けやすい部品を炭素複合材料に切り替えることで変形を抑える。トレーなど摩耗しやすい部品は鋳鋼製にして耐久性を高めた。炭素複合材料は材料メーカーと耐油性などテストを重ねて開発し、成形は専門業者に外注する。鋳鋼製治具は熱処理と急冷を繰り返すことで、半年―1年ほどで一部が変形して交換が必要になる。
開発した治具は自動車部品などの熱処理ラインへの採用を狙う。形状はオーダーメードで対応する。佐藤社長は「長年培ったノウハウから異素材の特徴や比重を考慮した設計により、耐久性向上・軽量化を提案できる」と自信を示す。
日光金属は熱処理治具やトレー、ゴミ焼却施設用部品などの耐熱鋳造を手がける。2019年9月期の売上高は約22億円。これまで自動車関連メーカーに熱処理治具を納品してきた。
材料メーカーで炭素複合材料の開発が進んだことや、熱処理ラインの維持費削減などのニーズを受け、新しい治具を開発した。