5社が最高予想 トヨタ系7社の通期見通し、体質改善など奏功
トヨタ自動車グループの主要部品メーカー7社の業績回復が鮮明だ。2022年3月期連結業績予想で、デンソーや豊田自動織機など5社が売上高や営業利益などで過去最高を記録しそうだ。コロナ禍や半導体不足による不透明感を織り込みつつも、トヨタなど自動車メーカーの販売が好調に推移する見通し。また体質改善などを通じて利益を底上げする。
デンソーは予防安全製品や電動化対応製品で販売が伸びる見込み。有馬浩二デンソー社長は「お客さまが示す数字を前提に体質強化して利益を上げていく」と語る。
豊田自動織機は好調な受注がけん引し、売上高と当期利益を除く各利益項目で過去最高を見込む。アイシンは統合効果による構造改革などが寄与し、当期利益で過去最高を更新する予想。トヨタ紡織は営業利益と当期利益、豊田合成は営業利益で過去最高を見込む。ジェイテクトも体質改善の取り組みなどで大幅な営業利益増を予想する。
世界的な半導体の供給不足などで一部では車両生産に影響が出ており、デンソーは半導体不足などの外的要因として22年3月期に約900億円の営業減益影響を織り込む。ただ現状は「今見えている中では(サプライチェーン)に問題は無い」(アイシンの伊勢清貴社長)、「影響は出ていない」(愛知製鋼の藤岡高広社長)などと捉える。むしろルネサスエレクトロニクスの工場火災からの復旧や半導体メーカーの生産増強などで車載半導体は「今夏頃に向けて需給が緩む」(デンソー松井靖経営役員)との見方を示す。
21年3月期連結決算はコロナ禍の影響で全社が減収となったが、デンソーとアイシン、トヨタ紡織、豊田合成は体質改革などが寄与し、営業増益だった。ジェイテクトは前回公表時は当期赤字の予想だったが、当期黒字で着地した。佐藤和弘社長は「損益分岐点が下がり、強くなってきた。さらに体質を強化したい」と語る。