牧野フライス、超短パルスレーザー加工機投入 半導体・医療関連市場を深耕
牧野フライス製作所はレーザー加工機事業を拡充する。加工対象物(ワーク)への熱影響が少ないなどの特徴を持つ超短パルスレーザーを採用した新機種を市場投入した。照射時間が極めて短いフェムト秒(フェムトは1000兆分の1)レーザーを使い、変質層やクラック(ひび割れ)の発生を抑えることで、高精度な微細加工が可能。切削加工などでは対応できない形状・材質の加工要求が高まる半導体や医療関連市場を深耕する。
新機種の「ルミナイザーLF400」は、最大ワークサイズが幅450ミリ×奥行き450ミリ×高さ200ミリメートル。価格は1億円以上。年間10台の販売を目指す。
レーザー光を制御するガルバノスキャナーに2軸仕様と5軸仕様をそろえるなどし、平面加工や穴加工、微細形状加工など加工内容に応じて最適な機器を選べる。
機械筐体(きょうたい)部に高剛性で前後左右対称となる設計を採用し、マシニングセンター(MC)で培った高精度位置決め技術も活用。外気温変化による機械姿勢の変化を最小化することで、長時間運転でもプラスマイナス0・001ミリメートルの位置決め精度を実現した。
また、アイコン表示によって直感的操作が可能なパネルを採用。レーザー発振器やガルバノスキャナーなどの機器も同一画面上で調整・操作できる。
牧野フライス製作所は脆(ぜい)性材加工向けに、水と空気との境界面での光の全反射現象を利用したウオータージェット式の機種を20年11月に発売し、レーザー加工機市場に参入した。今回の新機種投入により、レーザー加工機全体の年間販売台数を数年後に現在比約10倍の100台に増やす方針。LASER・EDM事業部の木戸正孝部長は「MCや放電加工機では対応できない部分をカバーすることで、当社の事業の柱にする」と事業拡大へ意気込みを示した。