造船・重機5社の前期、2社が営業赤字 量産品不振響く
造船・重機5社の2020年3月期連結決算が出そろい、営業(事業)損益は3社が減益、三菱重工業(国際会計基準)と三井E&Sホールディングス(HD)は赤字だった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、量産品の販売が落ち込んだほか、赤字の2社は多額の損失を計上した。3社が21年3月期連結業績予想の開示を見送り、業績がさらに悪化する可能性もある。収益力の低下に歯止めをかける戦略が急がれる。
米中貿易摩擦に続いて新型コロナが業績リスクとなり、各社の20年1―3月期の収益を圧迫した。三菱重工は「(自動車向けターボチャージャーなどの)中量産品と民間航空機分野での影響が大きい」ことから、緊急対策に着手。川崎重工業は新型コロナが営業利益で約60億円の減益要因となった。欧米の外出制限に伴って2輪車の販売店が休業したことが響いた。
世界経済の不透明感が強まっていることで、航空機や自動車分野を中心に各社の業績が落ち込む懸念が高まっている。三菱重工は21年3月期の事業損益で、新型コロナが約1400億円の減益要因と見込む。IHIも「民間航空エンジン事業の利益とキャッシュフローへの影響は避けられない」)としている。
新型コロナにより収益源を失っている現状を踏まえて、各社は中期経営計画の見直しを迫られている。住友重機械工業は新中計の公表時期を21年5月と、当初予定より1年先延ばしする。