造船・重機5社の通期利益見通し、2社上方修正 主力事業回復で明暗
造船・重機大手5社の2020年4―12月期連結決算が出そろい、主力事業で明暗が分かれた。川崎重工業はコスト削減が進む2輪車などの事業について、21年3月期の営業損益の予想を赤字から黒字に見直した。住友重機械工業は環境・プラント事業の売上高が前年同期を上回った。一方、三井E&Sホールディングス(HD)は海洋開発事業の採算が悪化し、営業赤字が拡大する。コロナ禍が業績回復のペースに影響を与えている。
各社の経営環境は新型コロナウイルス感染症により厳しいものの底打ちはしており、川重と住重は通期予想の利益を上方修正した。川重は営業損益などの赤字幅が20年10月時点から縮小する。2輪車を含むモーターサイクル&エンジン事業の通期の営業損益が100億円改善し、50億円の黒字に転換するのが大きい。
住重は稼ぎ頭の建設機械も「油圧ショベルの需要が国内と中国で堅調」という。
三井E&SHDは海洋開発の増収で当初よりも売上高が増える一方、コストがかさんで損益は悪化する見通し。収益を確保する上でコスト管理の重要性も高まっている。
また三菱重工業と川重、IHIは航空機分野の苦戦が当面続く見込みだ。IHIの丸山誠司理事は「航空会社の経営環境の悪化でエンジンのスペアパーツの販売が減少している」と指摘する。コングロマリット(複合企業)の体制だけに、同分野を補う収益戦略が求められそうだ。