工作機械受注、5月52%減 10年半ぶり550億円割れ
日本工作機械工業会(日工会)が発表した5月の工作機械受注額(確報値)は、前年同月比52・8%減の512億3900万円だった。550億円を下回るのは、2009年11月以来、10年6カ月ぶり。新型コロナウイルスの感染拡大による影響が続き、特に内需はリーマン・ショックの影響を受けた時期と同規模の低水準となった。
同日会見した日工会の飯村幸生会長(芝浦機械会長)は、新型コロナが業界に及ぼす影響について「リーマン・ショックよりも広範囲で長く影響を与える可能性がある」と指摘した。
内需は同57・4%減の181億9200万円で、10年3月以来、10年2カ月ぶりの200億円割れ。全業種が減少となる中、特に自動車と航空機・造船・輸送用機械の大幅な落ち込みが目立つ。
外需は同49・8%減の330億4700万円。5月単月で350億円を下回るのは09年以来となる。ドイツが同78・9%減、米国が同56・3%減、インドが同85・7%減と低迷した。
ただ、前月比で見た場合、中国が22・6%増と3カ月連続で増加となった。政府の公共投資などが奏功し、スマートフォン関連や建設機械が堅調に推移している。これにより、外需全体に占める中国の比率は42・9%となり、3年2カ月ぶりに4割を上回った。そのほか、行動制限が緩和されたドイツとイタリアも前月比で4カ月ぶりの増加に転じた。
経済活動再開の動きが徐々に広がる中、受注環境へのプラス作用も期待されるが、飯村会長は先行きについて「底離れの動きがうかがえる中国を除けば、設備投資の再開に向けた動きは、まだこれからの状況だ」とし、「5―7月が受注の底になるのでは」との認識を示した。