工具6社の前期、全社減収 需要減にコロナ追い打ち
切削・研削工具6社の2020年3月期連結決算が出そろい、自動車関連などの需要低迷に新型コロナウイルス感染拡大が重なって全社が減収となった。21年3月期連結業績予想は全社未定。主要顧客の自動車業界では、トヨタ自動車が前期比19・8%減収を予想するなど苦境が続く。機械業界も先行きが不透明で工具各社は体質強化や営業の新手法を模索する。
三菱マテリアルは、主に米中貿易摩擦や国内自動車関連メーカーの減産の影響を受け、超硬工具の販売が国内外で落ち込んだ。21年3月期は新型コロナによる需要減のほか、原料調達リスクや顧客の生産活動低迷の可能性を想定している。
各社は善後策を模索する。住友電気工業は「事業体質をさらに強化すべく徹底した生産性改善、拠点統廃合、社員の再教育などの内部固めを進める」方針だ。ノリタケカンパニーリミテドは「投資に濃淡を付け、可能なものは先延ばしする」計画。旭ダイヤモンド工業は第5世代通信(5G)などで需要増を見込む半導体向けを強化する。
ダイジェット工業は中国で需要が回復傾向。今後は営業活動でウェブシステムの活用を検討する。
日進工具は例年並みの設備投資6億円を計画し、品質向上や生産効率化のための設備を導入する。