日産系6社の前3月期、4社当期赤字 日本・北米など減産響く
日産自動車への供給が多い部品メーカー6社の2021年3月期連結業績の見通しは依然、視界不良のままだ。新型コロナウイルス感染症の拡大により今後の自動車の生産状況が不透明で、全社とも算定できていない。20年3月期連結業績についてもパイオラックスが22日に発表予定だったが、ロックダウン(都市封鎖)により決算作業が遅延したインド子会社の影響で延期した。日産は構造改革に着手しており、部品各社は今後コロナ禍と合わせて難しいかじ取りを迫られる。
・今期見通し、コロナ禍で算出困難
20年3月期はパイオラックスが10日に公表した業績予想を含めると、6社中全社が減収という結果になった。当期損益は4社が赤字だった。ファルテックは物流センターなどの固定資産売却益15億円が当期利益に寄与した。
日本や北米、アジアなどでの自動車の減産が業績に影を落とした。ヨロズは国内外五つの生産拠点で、有形固定資産の減損損失を計上した。20年3月期における日産向けの売上高に関して、同社は前年比10・7%減だった。ユニプレスは欧州日産向けの減少もあったため同12・4%減だった。
各社とも新型コロナの影響が見通せないことから、21年3月期業績予想を公表できずにいる。
ヨロズの志藤健社長は決算の説明動画で「各国政府の要請や得意先の稼働状況などが不透明であることから、現時点で合理的な算出が困難だ」と話した。
前期と比べて21年3月期は、新型コロナの事業に与える打撃は大きくなりそうだ。感染拡大が始まったのは1月。4月以降の年間業績には新型コロナの影響がフルでのしかかる。自動車の世界全体需要について日産は前期比15―20%減少すると予想する。
さらに日産の4月から始まった4カ年の構造改革計画の行方も注視しなければならない。生産能力の最適化として、24年3月期までに現状比20%減の年間540万台体制にする方針だ。車種数も20%減らすなど合理化を進める。
コロナ禍に加え、日産の構造改革が業績を大きく左右する。部品各社にとって、厳しい1年になる。