機械受注、8月6.8%増9815億円
設備投資が堅調。内閣府が10日発表した8月の機械受注統計(季節調整値)によると、民間設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」の受注額は2008年1月以来の高水準になった。前月比6.8%増の9815億円と2カ月連続の増加。内閣府は基調判断について、前月の「持ち直しの動きに足踏みがみられる」から「持ち直しの動きがみられる」に上方修正した。基調判断の上方修正は4カ月ぶり。
活発な省力化投資を背景に、製造業、非製造業ともに2カ月連続で受注額が増加した。製造業は前月比6.6%増の4551億円。化学機械、火水力原動機、電子計算機、工作機械、運搬機械などの受注が増え、鉄鋼業、自動車・同付属品、化学工業が伸びた。
非製造業(船舶・電力を除く)は同6.0%増の5235億円。鉄道車両、農林用機械、内燃機関、電子計算機、電子応用装置などの受注増に支えられ、運輸業・郵便業、農林漁業、金融業・保険業が増加した。外需などを含めた受注総額は同1.8%増の2兆6765億円。
8月の機械受注について、金融機関では前月増加した反動減が予想されていたが、「市場予想を上回り、サプライズになった」(銀行系エコノミスト)との声が相次ぐ。
先行きについては、日銀が発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)からも企業の設備投資意欲の強さが見られており、「製造業を中心に引き続き好調な受注が続く」(証券系エコノミスト)との見方が出ている。
他方、泥沼化している“米中貿易戦争”の影響が懸念されている。
「現時点で悪影響は特段生じていない」(同)と見られるが、日本を含めた世界経済を停滞させる恐れが依然くすぶっている。